研究課題/領域番号 |
22K04539
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研究機関 | 湘南工科大学 |
研究代表者 |
池田 裕一 湘南工科大学, 工学部, 准教授 (80435396)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 宇宙機 / 姿勢制御 / 非線形離散時間制御 / コントロール・モーメント・ジャイロ / 特異点回避 |
研究実績の概要 |
近年,特定領域の多点指向制御など,宇宙機の高速・大角度姿勢変更の要求が高まっており,大トルクが出力可能なコントロール・モーメント・ジャイロ(CMG)の使用が考えられる.CMGの特異点回避を考慮した宇宙機の非線形サンプル値姿勢制御手法の開発,および地上実験機による有効性の検証が本研究の目的であり,以下の課題に取り組んでいる. ・課題(A):特異点回避を担う離散時間CMG駆動則を開発する. ・課題(B):申請者が提案している離散時間制御則を,外乱やパラメータ変動に対するロバスト性などを考慮した離散時間制御則に拡張する. ・課題(C):実験装置を製作し,実証実験を通して構築した制御手法の実装可能性について問題点を吟味する. 2022年度は,課題(A)に対して連続時間null motionに基づいた離散時間CMG駆動則を開発し,申請者が提案している離散時間制御則と組み合わせた制御手法(手法1)を提案した.数値シミュレーションより,連続時間制御よりも高い特異点回避性能を有すことを確認した.しかし,手法1は外部特異点に関連するジンバル角速度制限やGMGの角運動量飽和を考慮することができない.そこで,①制御入力をジンバル角速度とし,②離散時間制御側より指令ジンバル角速度を算出し,③ジンバル角速度制限の制約条件を考慮しつつ指令ジンバル角速度と(できるだけ)一致するようなジンバル角速度を算出する制御手法(手法2)を提案した.この手法2は課題(A)と(B)を合わせた手法になっており,手法1よりも高い特異点回避性能を有することを数値シミュレーションより確認した.課題(B)に対して離散時間スライディングモード制御に基づいたロバスト制御則を開発し,数値シミュレーションより外乱などに対して制御性能劣化を低減できることを確認した.課題(C)については,申請者の先行研究にて製作済みの実験装置の改修を実施した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前述した課題(A)と(B)については概ね計画通りに進捗している.一方,課題(C)については,新型コロナウィルスの影響による部品などの納品遅れ,計算機PCと制御用モータの接続不良とその原因究明に想定以上の時間がかかったことから,実験機の改修に想定以上の時間を費やしてしまい,実験装置による検証ができなかった.以上のことから,進捗状況はやや遅れていると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は,課題(A)と(B)については前述の手法2のさらなる性能向上を目指す.現状は特異点回避を直接に考慮できる方法にはなっていないため,特異点指標を評価関数,ジンバル角速度制限とCMGの角運動量飽和を考慮した最適化問題に拡張し,特異点回避性能を向上させる.また,離散時間制御則においては外乱などに対するロバスト性は解決できたが,制御パラメータによってはチャタリング現象が生じるため,ターミナルスライディングモード制御に基づいてチャタリングフリーのロバスト制御則の導出を行う.さらに,安定化可能領域とサンプリング時間上限には反比例の関係があるという問題の解決にも取り組む.課題(C)については,計算機PCと制御用モータの接続不良が解決できたので,早急に検証実験を行う体制を整える.
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)新型コロナウィルスの影響による部品などの納品遅れ,計算機PCと制御用モータの接続不良とその原因究明に想定以上の時間がかかったことから,1部の物品請求・納品が年度内に間に合わなかった.
(使用計画)前年度に請求・納品されなかった実験装置の改修部品の購入,学会発表に伴う参加費や旅費,投稿論文の掲載費などで使用することを計画している.
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