研究課題/領域番号 |
22K04544
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
高柳 大樹 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 主任研究開発員 (70513422)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | パラシュート / 構造連成解析 |
研究実績の概要 |
本研究においては地球往還機や惑星探査機において大気突入機の減速機構として広く用いられているパラシュートの開傘過程の詳細なモデル化を目指して研究を進めている。これらの大気突入機では質量とともに容積が限られるが,パラシュートは高い占有率を占める一方で,パラシュートの破損はミッションの成否に大きく影響するため,開傘過程の詳細なモデル化を実現することで設計時に設定する各材料へ負荷される荷重や空力性能の予測精度の向上,安全率の適切な設定手法を獲得することを目的としている。2022年度は空気放出式と非火薬式の2種類のパラシュート放出機構を試作し,風洞内で気流がある状況における放出実験を行った。空気放出式は用いるピンの破断強度予測が困難である一方で、非火薬式は電力を適切に管理して供給することで安定して繰り返しパラシュートの放出実験を実施することができ、パラシュートの放出過程を観察することに適していることを確認した。一方で、パラシュート開傘過程を観測するための高速カメラとして、将来のフライト実験にも適用することを目指し、1000フレーム/秒まで計測可能な小型高速カメラを選定し、パラシュートの放出過程の連続画像撮影を実施した。しかしながら,詳細な開傘過程の画像取得には更なる光学系の最適化が必要であることが判明した。そのため,2023年度は小型高速カメラに搭載可能で、ケラレがなく、広い範囲でピントを合わせることでパラシュート開傘過程を評価することに適した光学系の設計を行った。様々なパラシュートの開傘過程の観察に適用可能なように、焦点距離を変えることで観察領域を適切に選択可能である。最後に選定した光学系を用いて、実際のパラシュート開傘過程を観測し、要求を満たしていることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度の風洞試験においてパラシュート開傘過程の画像取得にはさらなる光学系の最適化が必要であることが判明したため,2023年度は,2023年度は小型高速カメラに搭載可能で,パラシュート開傘過程を評価することに適した光学系の設計を行い,実際のパラシュート開傘過程を観測した。2024年度は確立された小型高速カメラシステムを用いてロケットスレッドにおけるパラシュート開傘過程の観察を行うとともに,パラシュートの空気透過度計測システムを用いて評価した傘布の空気透過度を構造連成流体解析コードに組み込み,評価を行う。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は確立された小型高速カメラシステムを用いてロケットスレッドにおけるパラシュート開傘過程の観察を行うとともに,パラシュートの空気透過度計測システムを用いて評価した傘布の空気透過度を構造連成流体解析コードに組み込み,評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度までにパラシュート傘布の空気透過度計測システムを構築する予定であったが,設計に時間を要したため今年度に繰り越しを行った。上記を早急に発議し実験を行うことで今年度までに計画的に使用する予定である。
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