研究課題/領域番号 |
22K04562
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
柴原 誠 神戸大学, 海事科学研究科, 准教授 (70628859)
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研究分担者 |
劉 秋生 神戸大学, 海事科学研究科, 教授 (80294263)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 流動沸騰 |
研究実績の概要 |
令和4年度は,冷却水の試験ループを用いて管内流速,サブクール度,系圧力と限界熱流束の相関を調べ,蒸気閉塞に伴う焼損過程について調べた.実験では,試験発熱体(ステンレス管(SUS304)・白金板)を通電加熱することで熱流束を増加させ,インバータで制御されたノンシールポンプを用いて種々の流速における試験発熱体の温度を測定した.また,系圧力は自己蒸気加圧器において調整し,サブクール度は予熱器を用いて昇温することで調節した.試験発熱体の発熱量については直流安定化電源の出力を制御することで過渡的な発熱を再現した.計測方法は,試験発熱体を一辺としたダブルブリッジ回路で構成し,試験発熱体の電気抵抗を測定した.試験発熱体の温度は予め試験発熱体の電気抵抗と温度の関係を校正することで求め,種々の流速・系圧力において限界熱流束に至るまでの温度計測を行った.また,実験で得られた試験発熱体の伝熱特性データを用いて,電力変換装置の水冷ヒートシンクに関する伝熱解析を実施した.伝熱解析にはCOMSOL Multiphysicsを用いて解析モデルを作成し,実験で得られた各流速・サブクール度及び系圧力における熱流束および管内表面温度を境界条件に用いて数値シミュレーションを実施した.伝熱解析により,非沸騰,核沸騰,遷移沸騰および膜沸騰時における電力変換装置の温度分布や熱抵抗を明らかにした.熱負荷が増加し冷却部の除熱限界を越えると,膜沸騰遷移により電力制御用素子の温度が急上昇することが伝熱解析により明らかになった.一方,蓄熱材で構成される吸熱部位の蓄熱材については,糖アルコール類の融点および潜熱量を熱分析により調べ,熱負荷と吸熱量の関係を明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り実験を実施し,沸騰伝熱特性についての伝熱解析に必要な基礎データを取得した.非沸騰領域から沸騰領域までの広範囲の実験データを収集できた.実験データを整理することで,流速及びサブクール度が限界熱流束に及ぼす影響について調べることができた.また,伝熱解析においても電力変換装置用水冷ヒートシンクの解析モデルを構築し,実験データに則したヒートシンクの内部温度を解析することができた.熱抵抗と沸騰様式の関係についても調べることができ,沸騰伝熱により熱抵抗が減少することを明らかにした.さらに,糖アルコール類の熱分析を行うことで,熱負荷と蓄熱材の吸熱量の関係を明らかにした.
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今後の研究の推進方策 |
吸熱部位の蓄熱材温度を選択的に制御するために,種々の糖アルコール類の混合を検討し,融点と潜熱量の定量評価を実施する.実験ではカートリッジヒーターを用いて各材料の添加量を調整した試料の熱的性質を調べ,試料の物性に関わる基礎データを収集すると共に,各実験条件下における相変化過程を明らかにする.また,伝熱解析として沸騰冷却時の管内シミュレーションを実施し,種々の熱流束における熱伝達率及びボイド率を予測する.なお,解析モデルの妥当性は今年度に実験データと比較することで定量評価を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画より出張回数が減少し,旅費及び学会参加費が縮小したため執行に遅れが生じた.執行が遅れた費用は旅費及び学会参加費として計上する.
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