研究課題/領域番号 |
22K04573
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研究機関 | 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 |
研究代表者 |
西尾 澄人 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (20443244)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | バイオ燃料 / メタンスリップ / NOx / EGR / グリセリン |
研究実績の概要 |
ガス機関の排ガスはSOxとスモークがほぼゼロの比較的きれいな排ガスであるが、メタンスリップという課題がある。一方ディーゼル機関は吸気から入ったメタンを燃焼させ低減するが、NOxが高いという課題がある。そこで、一つの機関において気筒別にガス燃焼と液体燃焼を行い、ガス燃焼の排ガスを液体燃焼の気筒のEGR用の排ガスに利用して、トータルでNOxとメタンの両方を削減するシステムを構築することを目的とする。加えて、バイオ燃料を作る際の副産物である廃グリセリンの処理が問題となっており、これをディーゼル機関の液体燃料として活用する方法を見つけることを目的とする。 このため、一部の気筒をメタンと液体燃料の混焼が可能で、メタンの注入を行えるように改造し、排ガスに与える影響を調べてきた。また、ガス燃料を一部の気筒で使用し、その排ガスをEGR用のガスとして使用するシステムを構築し、排気ガス性状への影響を調べてきた。 しかし現在のシステムはメタンの注入を制御できないため、吸気弁と排気弁が同時に開いている期間(オーバーラップ期間)でメタンのすり抜けを抑制できない。そこでメタンの注入をある一定のクランク角度で行なえるように改造し、オーバーラップの影響を受けない実験データを取得する。また、EGR系統を改造することによりEGR率を向上させて実験データを取得する。 今年度は、EGR配管の抵抗を少なくくするEGR系統の改造など実験装置の改造を行い、試運転を行い、基礎データを取得した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
メタンは地球温暖化係数が25と高いため、ガス機関の燃焼室から出るメタンスリップに対する対策が必要である。一方、ディーゼル機関においてバイオ燃料を使用するとNOx排出量が増加するという課題があり対策が必要である。そこで、本研究では一つの機関において気筒別にガス燃焼(メタン)と液体燃焼(バイオ燃料)を行い、ガス燃焼の排ガスを液体燃焼の気筒のEGR用の排ガスに利用して、メタンを再燃焼させ、トータルでNOxとメタンの両方を削減するシステムの有効性の検証を行う。 具体的には一部の気筒をメタンと液体燃料の混焼が可能で、メタンの注入をある一定のクランク角度で行えるように改造し、排ガスに与える影響を調べる。また、ガス燃料を一部の気筒で使用し、その排ガスをEGR用のガスとして使用するシステムを構築し、排気ガス性状への影響を調べる。 今年度は、実験装置製造(改造)を行い試運転を行った。2022年11月から2023年2月まで腰痛(ヘルニア)になり、計画どうりに実験が行えなくなったが、実験装置は順調に改造されており、研究の進捗状況としてはおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究ではガス機関のメタンスリップとディーゼル機関から排出されるNOxを同時に低減するシステムを一つの機関で行うシステムの構築を行う。具体的には、一部の気筒をメタンと液体燃料の混焼が可能で、メタンの注入をある一定のクランク角度で電子制御が行えるように改造し、その気筒の排ガスをEGR用のガスとして使用するシステムを改造することによりEGR率を向上させて実験を行い、本システムの有効性の検証を行う。 本研究の今後の推進方策としては次のように考えている。まず本システムの改造をはやく完成させ、エンジン実験を行い、排ガス性状への影響を調べる。 また、バイオ燃料を作る際の副産物である廃グリセリンの処理が問題となっており、これをディーゼル機関の液体燃料として活用する方法についても調べる。具体的にはグリセリンと油と水の比率や、混ぜる順序などを系統的に変えて、混合燃料の特性を調べ、混合安定性と粘度と潤滑性を考慮し、ディーゼル機関で利用可能な燃料としての活用方法を見つける。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は主にEGR配管の抵抗を下げるEGR系統の改造などを行い、試運転を行い、基礎データを取得した。また、一部の気筒をメタンと液体燃料の混焼が可能で、メタンの注入をある一定のクランク角度で電子制御を行えるように改造する作業に取りかかったところである。 2022年11月から2023年2月まで腰痛(ヘルニア)になり、計画どおりに実験が行えなくなった。このため、まだ一部改造が完成になってなく、さらに改造が必要な部分が残っているため、次年度使用額が生じた。
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