研究課題/領域番号 |
22K04580
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
坂本 淳 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 講師 (90548299)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 人流データ / UAV / ビッグデータ / TSP / GIS / 大規模災害 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,Socity5.0時代に期待される先端技術を道路災害応急対策計画への応用可能性を検討するものである.本年度は以下のことを実施した. (1)国内外の学術論文や新聞記事,および報告書を収集し,先端技術の防災対策への応用に関する現状整理を行った.学術論文は,リモートセンシングや深層学習,UAVの経路問題に関するものが中心となった.新聞記事や報告書は,近年の災害発生後の応急対策段階における被災状況の自動判別や道路診断に関するものが中心となった. (2)被災状況を自動判別する深層学習モデルを開発し,その精度を検証した.過去に発生した災害の後に撮影された航空写真を用い,被災状況を入力することでモデルを構築し,それを別の災害後の航空写真に適用した.対象地域は,津波災害では東日本大震災で被災した地域,豪雨災害では平成30年7月豪雨,令和元年東日本台風で被災した地域とした.その結果,類似した被災状況である場合において,9割程度の精度で被災状況を特定できることがわかった. (3)災害後に広域防災拠点から地域防災拠点までの接続性を空路で診断するためのモデルを開発した.防災計画に基づき作成した大規模災害発生後の防災拠点を出発地・目的地とし,UAVの性能を考慮して可能性を検討した.対象地域は,南海トラフ地震による被害が想定される高知県安芸市,宿毛市とした.その結果,拠点間の経路探索結果に基づき巡回する手法を用いることで,効率的に診断できる可能性がわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
被災状況自動判別モデル,被災経路巡回モデルのいずれも改善の余地が残っているが,それ以外は順調に推移している.
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今後の研究の推進方策 |
過去の発災後における人や物の動きを可視化できる人口流動データを活用し,時々刻々と変化する発災後の状況に対応した被災経路巡回モデルの開発を予定している.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の主たる支出となるビッグデータは高価であり,パンデミックによる影響を受けているため,検討対象とする地域を選定することができなかった.また,夜間人口データの販売が遅れており,購入することができなかった.次年度はこれらの購入の目途がたつことが予想されることから,より現実に即したモデルへ改善することを予定している.
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