研究課題/領域番号 |
22K04581
|
研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
鈴木 斎王 宮崎大学, 医学部, 特別教授 (60305084)
|
研究分担者 |
土方 嘉徳 関西学院大学, 商学部, 教授 (10362641)
杉原 太郎 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (50401948)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 医療・介護連携 / 情報共有 / 医療介護支援 / フィールドスタディー |
研究実績の概要 |
【研究目的】超高齢社会において安心・安全・かつシームレスに患者を病院や介護施設へ転所させる情報共有にあたって,情報共有不全が生じるメカニズムの究明とその解決のための支援技術の開発・導入要件を検討する.介護および生活支援での自由形式で記録された患者および家族に関する記述や入院時の発言に対して,半構造化文書の分析技法用いる.シームレスな転院・転所のために重要な二次医療施設の看護師およびMSWに対してインタビューを行い,介護施設となり携時に重要な情報と共有の仕方を追究する. 【実績】鈴木と杉原が中心となって,情報共有の課題のひとつであるセンシティブな情報の内容を調べた.宮崎大学医学部附属病院のご意見票における否定的意見とともに,42の国立大学病院に寄せられる否定的意見を患者の苦情をコーディング分類法Health Care Analysis Tool(HCAT)を適用してえ分析を行った.国立大学病院における否定的意見は マネジメントや関係性に関する問題が中心であり 医療に関する問題は報告されていなかった.また,意見の内容は医療安全上の重大度が低いものが大部分で患者への危害もほとんど生じていなかった. また,土方と杉原が中心となり長期間のトレンドを確認可能な状況把握システムを開発し,実地で評価した.介護記録から業務に有益な気づきが得られるよう,自由記述形式で記録された介護記録を頻出する内容に基づいて構造化し,入居者の体調や実施した処置などの介護状況を時間を追って直感的に把握することができる支援システムを開発した.効果を検証するため,実際の介護記録業務に従事する従業員を対象に実証実験を行った.介護記録業務に従事する従業員には,長期的な視点を重視している従業員と短期的な視点を重視している従業員が存在することが顕在化され,双方で介護記録業務にて重視している内容が異なっていることを確認した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
介護記録支援システムの構築とコロナ禍による訪問制限のため、看護師やMSWに対するインタビュー調査ができなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
21年度に開発した情報共有支援機能と22年度に開発した状況把握システムを応用して,情報共有をシームレスに実施できる技術の可能性を示す.このとき,この2年間で並行して分析してきた否定的意見(センシティブな情報のひとつ)とセンシティブな情報の取り扱い方の分析結果を取り入れる. 鈴木は,研究統括者として,ならびに医療情報管理者の立場を踏まえて取りまとめるとともに,データ収集と分析を進める.調査場所は,鈴木が所属する宮崎大学医学部附属病院患者支援センターとする. 杉原は,鈴木と土方の成果が出るようつなぎ役を果たしつつ,介護施設と大学病院のユーザ調査を実施する.情報共有支援機能を発展させるとともに,21年度に積み残していた介護施設側の情報共有支援機能の評価を実施する. 土方は,杉原と協働しつつ,介護施設側から見た情報共有の重要性についての研究を進める.状況把握システムを発展させて機能を充実させるとともに,実地評価を継続する.その中で,医療側から届きにくく,かつ介護を実施するために重要な情報について検討する.
|
次年度使用額が生じた理由 |
予定していた面接・質問紙調査が実施できなかったために、残額が生じた。 本年度は面接・質問紙調査が可能と判断されるために、調査費用(出張費用、記録保存用のPC、解析用PC)として支出される予定である。
|