研究課題/領域番号 |
22K04587
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
伊呂原 隆 上智大学, 理工学部, 教授 (60308202)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 物流 / 倉庫 / オーダーピッキング / 自律移動ロボット / 数理モデル |
研究実績の概要 |
本研究では、簡易的な搬送装置である自律移動ロボット(Autonomous Mobile Robot、以下AMR)を活用し、オーダーピッキングを担当するピッカーの歩行の無駄を改善するとともに、低費用かつ柔軟性が高い次世代型のオーダーピッキング方法を提案する。 AMRはピッキングされた商品を運ぶことが可能である一方、棚から商品をピッキングすることができない、もしくはピッキングさせようとすると大きなコストがかかる。そこで、ピッカーとAMRが協調し、棚から商品をピッキングする作業とピッキングされた商品を指定された場所まで運ぶ運搬作業を、ピッカーとAMRが互いに協調しながら行うためのよりよい方法を研究した。 2023年度に実施した研究モデルでは、AMRとピッカーがそれぞれ独自の経路を持ち、アイテムのピッキング時にピッカーがAMRを補完するスウォームシステムを前提とし、1種類の商品(Stock Keeping Unit、以下SKU)を異なる複数の棚に分散して配置する方法の有効性を合わせて検証した。 はじめに、SKUの分散配置を行わない場合を検証した。ピッカー数、AMR数を増加させるほど、目的関数値が改善されるもののその改善効果幅は徐々に減少する、という想定通りの結果が得られた。 一方、SKUの分散配置を行った場合、一定の分散割合までは、分散割合が高いほど目的関数値が改善される度合いが大きいが、境界値を超えると目的関数値が悪化した。その原因としては、一定の分散割合まではSKUの配置場所が増えるためピッキング距離を短縮する効果がある一方で、分散が過度になるとSKUの配置場所の増加に伴い移動範囲が広がりすぎピッキング距離が増加するためであることが分かった。また、ピッカーの人数、AMRの台数が多いほどSKUを分散配置する効果が大きいことが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の研究計画では、ピッカー、AMRの両者を複数とする最適化モデルの構築は3年目の予定であったが、2年目である2023年度に、前述の研究実績のとおり、複数人、複数台まで拡張できたこと、さらにはAMR環境下では検討されたことがなかったSKUの分散配置についても検討できたことは想定以上であったため、上記区分を選択した。
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今後の研究の推進方策 |
一般のオーダーピッキング問題においてはオーダーをまとめてピッキングするオーダーバッチングに関する数多くの研究がなされているが、AMRを使用する状況や、1種類の商品を複数個所に分散して配置するような状況に対する研究では、バッチングの研究がなされていない。また、AMRを導入する際には、どの程度の機能を有するAMRをどのぐらいの規模で導入するのが適切であるかについても十分な研究がなされていない。よって、本研究では、AMR環境下におけるオーダーバッチングや適切なAMRの機能・導入台数の見積もりに関する研究を推進していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度は予定通りに使用したが、その前年度にコロナ禍の影響で成果発表を予定していた会議への参加が叶わず繰り越した分がそのまま残額となったため。次年度には当初の予定以上に研究成果の公開ならびに最新の研究情報収集を行うために研究費を使用したい。
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