研究課題/領域番号 |
22K04597
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
吉田 直子 金沢大学, AIホスピタル・マクロシグナルダイナミクス研究開発センター(薬), 助教 (20565428)
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研究分担者 |
ZHU SHU 金沢大学, 医薬保健学総合研究科, 博士研究員 (40883905) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 偽造医薬品 / 医薬品プロファイリング / 偽造医薬品検出法 |
研究実績の概要 |
本研究は、流通医薬品から得られる様々なデータに機械学習を適用した医薬品プロファイリングにより、偽造医薬品スクリーニング法を開発することを目的とする。令和4年度は、過去の試買調査入手したバイアグラ錠(n=23)、シアリス錠(n=33)、レビトラ錠(n=29)を対象に(いずれも偽造品を含む)、不純物プロファイル(impurity profile, IP)による偽造医薬品の特徴抽出と深層学習を活用した錠剤表面画像を対象とした偽造医薬品鑑別モデルの構築を試みた。 IPによる偽造医薬品の特徴抽出:HPLC-UV法により得られたクロマトグラムにおける微小ピークの出現パターンからIPを分類した。3製剤すべてにおいて、真正品のみが正規品と同じIPを示し、いずれの製剤でも偽造品のIPは複数パターン存在することが示された。また、共通のIPを示した偽造シアリス錠と偽造レビトラ錠が見つかり、これらは同じ原材料から製造された可能性が示された。一方、IPと発送国、発送元、製造国等に有意な関連性は認められず、さらなる検討の必要性が示された。 錠剤表面画像を対象とした偽造医薬品鑑別モデルの構築:金属顕微鏡を用いて、各錠剤表面を撮影した。各製剤の真正品と偽造品の画像データがそれぞれ120枚になるよう撮影し、学習データ:検証データ:テストデータ=7:1:2となるように分割した。製剤毎に偽造鑑別モデルを構築し、それぞれの検証精度は100.0%を達成した。これらのモデルにテストデータを適用し、評価指標を算出したところ、すべてのモデルで高い評価が得られたことから、深層学習の活用による錠剤表面の顕微鏡画像を対象とした偽造品鑑別の可能性が示された。 さらに、医薬品プロファイリングに用いるデータとして、入手製品の包装から得られる外観情報をテキストデータとして整理し、各錠剤と包装のラマンスペクトルデータの収集・整理を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度の研究計画として予定していたデータの収集・整理として、外観情報、IPやラマンスペクトルの化学的情報を概ね収集することができた。多変量解析や機械学習を活用し、データマイニングにも着手できているが、テキストデータとスペクトルデータの組み合わせ方法の確立には至っていない。一方、令和5年度の研究計画として予定していた画像データによる偽造医薬品の特徴抽出の一部を前倒しで実施することができ、機械学習を活用した錠剤顕微鏡画像の解析、偽造医薬品鑑別における有用性を見出せた。その手法は、これから収集する製品包装画像データの解析に活用できる。 以上より、令和4年度に実施した研究の進捗状況としては、おおむね順調に進展しているものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
製品包装の画像データ等をさらに収集し、外観情報と化学的情報からデータセットを作成し、機械学習を適用した医薬品プロファイリングによる適材適所で実施可能な偽造医薬品スクリーニング法の開発を行う。 ①偽造医薬品の特徴抽出:外観から得られるテキストデータについて、機械学習モデルを搭載したデータマイニングソフトウェアIBM SPSS Modelerを用いて、学習アルゴリズムを選定・実装して、偽造医薬品および真正品の特徴抽出ならびに予測分析を行う。また、包装・容器ならびに製剤について、カメラおよび顕微画像をデジタル画像データとして記録する。MATLABを用いて 、データ加工・前処理、データセットの作成、学習モデルの選定・実装を行い、製品包装画像や錠剤の顕微画像における偽造医薬品および真正品の特徴抽出を行う。さらに、ラマンスペクトルデータやIP等の化学的情報と外観情報を網羅的に解析し、偽造医薬品鑑別ポイントとなりうる偽造医薬品の特徴・パターンを抽出する。 ②偽造医薬品鑑別ポイントを検出するための観察・分析法の選択:見出された偽造医薬品の鑑別ポイントに対して、その検出に最適な手法を導き出す。 ③偽造医薬品スクリーニング法の考案:フィージビリティを考慮して、各手法の実装可能性を検討し、偽造医薬品スクリーニング法の素案を立てる。学会発表等で関係者と意見交換を積極的に行い、当事者から意見を基に素案を改訂して、偽造医薬品スクリーニング法を考案し、今後の実証実験に繋げる。
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次年度使用額が生じた理由 |
物流の遅延などにより年度内に入手できない試薬等があったため、使用予定の助成金の一部が未使用となっている。当該助成金は、次年度に必要な物品費等として使用される。
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