研究課題/領域番号 |
22K04598
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
渕 真輝 神戸大学, 海事科学研究科, 准教授 (20362824)
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研究分担者 |
小西 宗 神戸大学, 海事科学研究科, 助教 (20909543)
広野 康平 神戸大学, 海事科学研究科, 准教授 (80346288)
中井 宏 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 准教授 (90583526)
森泉 慎吾 帝塚山大学, 心理学部, 講師 (50735066)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | Safety-Ⅱ / 船舶衝突回避判断 / 学習プログラム |
研究実績の概要 |
海運は地球規模の重要な輸送モードであり、島国であるわが国では貿易の殆どが海上輸送による。船舶の操縦はその質量の大きさ等から自動車などと比較して“遅い動き”を扱うため、先行研究の知見をそのまま適用することができない。また遅い動きを扱うことからフィードフォワード型の判断が必要となり、操船者の経験が重要であると言われている。他産業でも導入され始めたSafety-Ⅱの考え方は上述する特徴を有する操船にも有用であると考えられ、本研究は、うまくいかないことの要因を探るというSafety-Ⅰの視点に操船者の工夫といったSafety-Ⅱの視点を加えて、衝突回避判断の詳細を明らかにすること、および熟練者の状況認識と衝突回避判断を初心者に学ばせるプログラムを検討することを目的とし研究を進めている。 今年度については、Safety-Ⅰの視点とSafety-Ⅱの視点からの分析方法の整理および検討を行い、特に操船シミュレータシナリオ開始前の予見についてデータを得ることとした。操船シミュレータ実験は、船員養成機関に所属する学生と実務経験者を対象として開始した。初心者として神戸大学海事科学部の学生を対象とし、初心者の一部、および熟練者である実務経験を有する操船者は海運会社等の実務経験者を対象とした。操船シミュレータは、神戸大学大学院海事科学研究科が所有する大型操船シミュレータおよび同研究科敷地内にある神戸海事センターが所有する大型操船シミュレータを使用した。 初心者と熟練者について特に予見が異なることが示され、さらにその後に操船に影響を与えていると考えられた。ただしシナリオによっては差が小さい場合もあり、状況依存も考えられた。この状況の差について考察すると、比較的長時間後の予見について熟練者が優れており、学生は直近の実習による影響が大きいことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Safety-Ⅰの視点とSafety-Ⅱの視点からの分析方法の整理および検討を早々に行うことができ、操船シミュレータ実験を開始することができた。初心者として学生を対象とする操船シミュレータ実験を順調に実施することができた。またどうしても人数は少なくなるが、海運会社の協力の下、熟練者を対象とした操船シミュレータ実験を開始すすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き操船シミュレータ実験を実施する。初心者としての学生に対して引き続き協力を得るとともに、海運会社より熟練者の派遣依頼を進める。操船シミュレータ実験によって得られたデータをSafety-Ⅰの視点とSafety-Ⅱの視点でより詳細に分析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
操船シミュレータ実験を実施しているが、実務経験者と学生を対象としている。学生については予定の変更が生じても短期間のうちに再度調整を図り直ぐに実験をすることが容易であったが、実務経験者については業務の都合で直ちに予定の調整ができないケースが多く、結果として年度内の実施が急遽キャンセルされたことに伴い次年度使用額が生じた。
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