研究課題
2022年度については研究計画初年度として、開発中の自然言語処理人工知能(AI)を本研究の目的目標である主観的ウェルビーイング(SWB)の即時検知に向けて機能拡張を行い、データを読み込み、第一回の機械学習を行った。具体的には、現在の心的状態を自由記述させるとともに、SWBを定量評価するアンケートデータを2,000標本収集し、AIの読み込む自由記述テキストの複雑な構文が、数百次の高次元BERTベクトルに置換できることを確認した。さらに、BERTベクトルで表現されるデータと同一回答者がアンケートで答えた主観評価によるSWB度の値を教師データとして、SWB推論AIモデルが学習できることを確認した。ただし、いわゆるプレイン・バニラ型の機械学習については、自由記述テキストとSWSとの相関予測が全般としては、予測精度があまり上がらないことが判明した。そのため、全標本のうち、人生満足尺度及び前野幸福四因子で測定されたSWSの上位10%及び下位10%の回答者を切り出し、自由記述テキストとSWSの相関について分析及び検証を進めた。その結果として、特にSWBが高い上位10%のクラスターについて、心的状態を表現する自由記述テキストの構文の抽象度及びモダリティに特徴が現れることが明らかとなった。この研究成果については、2023年7月に開催されるポジティブ心理学に関する国際研究大会での発表が予定されている。
2: おおむね順調に進展している
初年度の研究計画である、開発中の自然言語処理AIの機能拡張及びデータ読み込みによる機械学習が予定通り行われた。さらに、AIの読み込む自由記述テキストが、高次元BERTベクトルに置換できることが予定通り確認され、教師データを手本としてとして、SWB推論AIモデルが学習できることも確認された。研究成果としても、ポジティブ心理学関係の国際研究大会での発表が可能となる程度に挙げられている。
前年度に機能拡張されたAIに、自由記述テキストのリアルタイムの読み込みでSWBの検知の即時性を担保できる機能をデザインし、その動作検証及び妥当性確認を行うために、さらに機械学習を進め、調査対象者が記述した自らの心的状態に関する自由記述テキストが、SWB推論AIモデルにより正確に分析されるように、改良を行う。さらに、得られたSWB度データを重回帰分析にかけ、両データの相関を確認し、AIがうまく動作するかの検証及び妥当性確認を引き続き行う。
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