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2022 年度 実施状況報告書

多周波リニアスキャン法による空中超音波フェーズドアレイを用いた実時間検査への挑戦

研究課題

研究課題/領域番号 22K04624
研究機関日本大学

研究代表者

大隅 歩  日本大学, 理工学部, 准教授 (40579413)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード強力超音波 / 空中超音波 / 高速計測 / 空中超音波フェイズドアレイ / 非破壊検査
研究実績の概要

令和4年度における研究実績は,以下の通りである。
1.リニアスキャン法の空中超音波フェーズドアレイの制作・・・リニアスキャンを行うための大規模な空中超音波フェイズドアレイを設計するために以下の設計を行った。まず,空中超音波振動子1600個を平面的(縦40個×横40個)に配置した回路基板を設計した。続いて、各空中超音波振動子に対してFPGAから発振した信号を増幅する信号増幅器を設置する回路基板を設計した。なお,この設計においては購入予定のField Programmable Gate Array(FPGA)ボードに合わせて設計した。一方,1600個の振動子を同時に駆動するためには,各回路基板について繰り返しの調整が必要であり,シミュレーションも併用した再設計を繰り返し,約9カ月かけて設計を完成させた。
2.駆動アルゴリズムの構築・・・空中超音波フェーズドアレイでリニアスキャンを行うためには,以下の駆動アルゴリズムを構築し,実装する必要がある。まず,リニアスキャンを行う各アレイ領域を指定する。続いて,その領域中の空中超音波振動子を個々に独立して制御し,増幅させた遅延信号を送り込むことで超音波をアレイ開口面中心軸上に集束させる.指定した各アレイ領域からの集束音波を任意に独立して制御を行い,リニアスキャンを実施する。以上のアルゴリズムは,すべてシミュレーション上で設計し,約3カ月かけて完成させた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

令和4年度における現在までの進捗状況は以下の通りである。
1.リニアスキャン法の空中超音波フェーズドアレイの制作については、当初の予定通り,FPGAや周辺電子回路を搭載した回路基板の設計が完了した。
2.駆動アルゴリズムの実装については、当初の予定通り設計した回路に対してシミュレーションを実施して,アルゴリズムの構築が完了した。

今後の研究の推進方策

令和5年度は,令和4年度に設計が完了したリニアスキャン用の空中超音波フェーズドアレイの回路基板作成に着手する。まず,回路基板作成においては,適切な電子部品の調達が必要となる。回路設計上は,すべて調達可能な電子部品で設計しているが,電子部品の中でもIC関係は,現在の世界情勢から調達可能であった電子部品が,急に調達出来なくなる可能性もある。その場合は,信号伝送および信号増幅を行う回路そのものを調整し、見直す必要もある。特に,信号伝送については1600chを同時に遅延なく制御する必要があるため,専用のICを利用している。そのため,このICが調達できない場合,別の制御方法を考えて回路設計から見直す必要がある。
続いて,電子部品が搭載された空中超音波フェーズドアレイの回路基板が完成次第,動作試験を行う。なお,試作された回路基板の動作実験においては1600chすべての空中超音波振動子と,それに付属する回路のすべての動作状況について確認を行う必要がある。この作業は,非常に重要な作業であるため,相当の時間を要する。そのため,研究計画としては,長い期間を設定している。
動作確認の終了後,前年度に構築した駆動アルゴリズムで実働実験を行う。このアルゴリズムの実働試験では,リニアスキャン法のときに照射される空中超音波が所望の領域内に走査照射されているかを音場を計測しながら行う。なお,理想的な音波照射が実現できていない場合,アルゴリズムを調整する必要もある。空中超音波フェーズドアレイの回路基板作成および動作試験に9カ月,駆動アルゴリズムの実働試験および調整に3カ月を予定している。

次年度使用額が生じた理由

令和4年度申請した費用に一部計画変更が生じ,先行して前倒し申請を行った。これは,当初1000chを超える空中超音波振動子への配線を考慮した回路設計には、半年近くの日数を想定していた。一方、配線構造を見直した結果、想定よりも2か月ほど回路設計が速く終わる見積もりが得られたため,前倒しで予算申請を行い回路基板作成のための費用として使用する予定であった。しかしながら,使用する電子部品が生産中止になるなどの予想外の事案がその後発生し、再度回路を見直すこととなった。そのため、最終的な調整に時間がかかり、結果として回路設計に遅延が生じ,前倒し申請した予算は使用しなかった。
今年度前倒し申請した予算は、次年度、回路基板作成費用として使用する予定である。

  • 研究成果

    (22件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (22件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 受信信号に対する畳み込み積分による符号変調を用いたLamb 波のパルス圧縮2023

    • 著者名/発表者名
      清水鏡介,大隅歩,伊藤洋一
    • 学会等名
      日本音響学会2023年春季研究発表会
  • [学会発表] 非線形空中超音波励起による薄板からの漏洩波挙動2023

    • 著者名/発表者名
      濱田郁哉,大隅歩,伊藤洋一
    • 学会等名
      日本音響学会2023年春季研究発表会
  • [学会発表] 非線形空中超音波波源走査法による非破壊検査2023

    • 著者名/発表者名
      大隅歩
    • 学会等名
      電子情報通信学会・超音波研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] 円環型圧電セラミックスを用いた小型空中超音波エミッタの実験的検証2023

    • 著者名/発表者名
      浅野千春、清水鏡介、大隅歩、伊藤洋一
    • 学会等名
      電子情報通信学会・超音波研究会
  • [学会発表] 空中超音波励起による弾性表面波のパルス圧縮の基礎検討 ~受信信号に対する符号変調の適用~2022

    • 著者名/発表者名
      清水鏡介,大隅歩,伊藤洋一
    • 学会等名
      アコースティクイメージング研究会
  • [学会発表] 空中超音波励起によるモルタル表層を伝搬するガイド波のパルス圧縮2022

    • 著者名/発表者名
      清水鏡介,大隅歩,伊藤洋一
    • 学会等名
      第 25 回関西支部若手研究者交流研究発表会
  • [学会発表] 非線形空中超音波を利用したパルス圧縮の基礎検討2022

    • 著者名/発表者名
      清水鏡介、大隅歩、伊藤洋一
    • 学会等名
      電子情報通信学会技術研究報告
  • [学会発表] Guided wave pulse compression by airborne ultrasound excitation2022

    • 著者名/発表者名
      Kyosuke Shimizu; Ayumu Osumi; and Youichi Ito
    • 学会等名
      The 43rd Symposium on Ultrasonic Electronics
  • [学会発表] Fire Damage Diagnosis of Locally Heated Mortar Using Airborne Ultrasound2022

    • 著者名/発表者名
      Tomohide Iketani; Kota Kodama; Ayumu Osumi; Youichi Ito
    • 学会等名
      The 43rd Symposium on Ultrasonic Electronics
  • [学会発表] Visualization of Leaky Wave Propagation from Thin Metal Plate with Defects by Nonlinear Airborne Ultrasound Excitation2022

    • 著者名/発表者名
      Fumiya Hamada; Kyosuke Shimizu; Ayumu Osumi; Youichi Ito
    • 学会等名
      The 43rd Symposium on Ultrasonic Electronics
  • [学会発表] Basic Investigation of Sound Field Around Head Under Pulse Ultrasound Irradiation2022

    • 著者名/発表者名
      Yuya Ogawa; Ayumu Osumi; Youichi Ito
    • 学会等名
      The 43rd Symposium on Ultrasonic Electronics
  • [学会発表] Basic Study of Low-frequency Airborne Ultrasonic Emitter with an Annular Piezoelectric Element2022

    • 著者名/発表者名
      Chiharu Asano; Kyosuke Shimizu; Ayumu Osumi; Youichi Ito
    • 学会等名
      The 43rd Symposium on Ultrasonic Electronics
  • [学会発表] Simulation of Surface Acoustic Wave in Shallow Layer of Heated Mortar Under Multi-frequency Ultrasound Irradiation2022

    • 著者名/発表者名
      Ayumu Osumi; Tomohide Iketani; Youichi Ito
    • 学会等名
      The 43rd Symposium on Ultrasonic Electronics
  • [学会発表] 空中超音波励起によるガイド波の分散性を考慮したパルス圧縮 ~欠陥を有する金属薄板への適用~2022

    • 著者名/発表者名
      清水鏡介,大隅歩,伊藤洋一
    • 学会等名
      非破壊検査協会 2022 年度 秋季講演大会
  • [学会発表] 空中超音波励起によるガイド波パルス圧縮のための音源駆動条件の検証2022

    • 著者名/発表者名
      清水鏡介,大隅歩,伊藤洋一
    • 学会等名
      日本音響学会2022年秋季研究発表会
  • [学会発表] 非線形空中超音波を利用したピッチキャッチ法による金属薄板を対象とした非接触非破壊評価2022

    • 著者名/発表者名
      濱田郁哉、清水鏡介,大隅歩,伊藤洋一
    • 学会等名
      日本音響学会2022年秋季研究発表会
  • [学会発表] 円環型圧電セラミックスを用いた小型低周波空中超音波エミッタの検討2022

    • 著者名/発表者名
      浅野千春,大隅歩,伊藤洋一
    • 学会等名
      日本音響学会2022年秋季研究発表会
  • [学会発表] 気流中における空中超音波により励起した Lamb 波のパルス圧縮2022

    • 著者名/発表者名
      清水鏡介,大隅歩,伊藤洋一
    • 学会等名
      電子情報通信学会・ソサイエティ大会
  • [学会発表] 空中超音波励起によるLamb 波のパルス圧縮の効果 ~試料端反射の有無による検討~2022

    • 著者名/発表者名
      清水鏡介,大隅歩,伊藤洋一
    • 学会等名
      アコースティクイメージング研究会
  • [学会発表] FEM を用いた空中超音波フェーズドアレイの集束利得と非線形性の検討2022

    • 著者名/発表者名
      清水鏡介,大隅歩,伊藤洋一
    • 学会等名
      2022年度 非線形音響研究会
  • [学会発表] 非線形空中超音波を利用した非接触非破壊検査の検討-薄板から漏洩する音波の可視化-2022

    • 著者名/発表者名
      濱田郁哉、清水鏡介、大隅歩、伊藤洋一
    • 学会等名
      電子情報通信学会・超音波研究会
  • [学会発表] 弾性表面波によるコンクリート内部の火害深度推定-実験とシミュレーションによる比較検証-2022

    • 著者名/発表者名
      池谷友秀、大隅 歩、伊藤 洋一
    • 学会等名
      2022年度 日本火災学会研究発表会

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公開日: 2023-12-25  

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