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2022 年度 実施状況報告書

雪氷災害把握・予測のための気象レーダーと3次元風速場を用いた水平高解像積雪深推定

研究課題

研究課題/領域番号 22K04633
研究機関長岡技術科学大学

研究代表者

熊倉 俊郎  長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (00272865)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2027-03-31
キーワード雪氷災害防除 / 固体降水量 / 後方流跡線解析 / 気象レーダー / 局地数値予報 / 積雪深
研究実績の概要

本研究課題は、既に観測された冬季降水量観測を用いて、広域地上固体降水量を推定し、その妥当性について評価することである。今年度はその中で、レーダー降水量と局地気象モデルの3次元予報データを組み合わせて、後方流跡線解析による地上降水量の推定(解析降水量)の妥当性と、後方流跡線の経過時間を利用した短時間(数十分程度)の地上降水量推定が可能かどうかについて検討した。以前の基盤研究では、1時間程度の降水量積算値に対しては流跡線解析の利点か大きく現れることがないが、やらないよりは良く、短時間間隔の観測値に対しては観測地点直上のレーダー降水量(直上降水量)と解析降水量とは場合により大きく差が出る結果となっていた。
今回は短時間間隔の観測でどの程度の違いが現れるかを解析した。地上観測降水量と直上降水量との時間的増減が一致しない点は、後方流跡線解析を採用することで、積雪深が大きく増えた期間に関して一致度が51%程度だったのが、60%まで上昇し、特に一致度が高い期間が多く推定された。また、降水量の比較では、解析降水量で一致度90%、直上降水量で67%であった1時間で見たところ、RMSEが0.68mm/hから0.52mm/hに改善された。後方流跡線解析はごく平均的な流れを仮定し、かつ乱流などの影響を無視していることから、地上降水量が常に正しく推定されるものではないが、短期間間隔での観測値に対する応答として、直上のレーダーを参照するより有利であることが示された。また、今回は後方流跡線のレーダー観測面からの経過時間は長くて10分程度であったが、少なくともその時間だけ先の降水量がほぼ正しく推定されることを意味する。本研究で用いているレーダー装置では災害の多い魚沼市や南魚沼市方面が観測範囲内に入っており、そこでは経過時間が数倍になるため、その場合の降水量の推定精度についても調べる必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は、前回の基盤研究でやり残した部分から着手している。これに加えて固体降水粒子種別の違いによる後方流跡線解析への寄与についても開始しているが、地上観測を基にしたものであり、まだ発展途上と考える。また、地上降水量観測については、数分・数十分ごとの短時間間隔での計測が検証には必須であるが、これをクリアする測器はごく限られた箇所にしかなく、今後の検証作業の壁になる可能性があるため、前回の基盤研究で開発していた簡易型測器の実用化についても力を入れることにした。

今後の研究の推進方策

概ね、計画書通りに進んでいくことができる。しかし、現在の進捗状況で述べたように、短時間間隔での降水量計測について、本研究内で独自に観測しなければならないかもしれない。そのため、以前から着手している光学式反射型降水量・降水種別測定器について、実用度を深める必要性が出てきた。よって、この課題について、防災科学技術研究所での実験を行うため、共同研究を新たに組んだ。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウィルスに関する外出自粛による。(札幌開催の学会へのリモート参加により、使用額に残額が生じた。)

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (5件)

  • [学会発表] 上空で測定されたレーダー降水量と3次元風速場を用いた地上到達固体降水量の推定と検証2022

    • 著者名/発表者名
      熊倉俊郎、古橋知季、中島大 岳、早野真理子、本吉弘岐、中井専人
    • 学会等名
      2022年度日本雪氷学会北信越支部研究発表会
  • [学会発表] 後方流跡線解析を用いた降雪時の短時間間隔予測降水量の推定2022

    • 著者名/発表者名
      覺道由郎、小柳颯輝、古橋知季、熊倉俊郎、中島大岳、早野真理子、本吉弘岐、中井専人
    • 学会等名
      第40回土木学会関東支部新潟会研究調査発表会
  • [学会発表] 固体降水粒子種別ごとの落下速度を考慮した後方流跡線解析による地上降水量推定手法の改良2022

    • 著者名/発表者名
      猪狩吉弘、覺道由郎、小柳颯輝、熊倉俊郎、古橋知季、早野真理子、中島大岳、本吉弘岐、中井専人
    • 学会等名
      第40回土木学会関東支部新潟会研究調査発表会
  • [学会発表] 小型マイクロ波ドップラー装置を用いた降水量推定手法の検討2022

    • 著者名/発表者名
      瓜生大地、熊倉俊郎、中井専人、安達聖、鈴木紘一、山崎正喜、山倉祐也、齋藤隆幸
    • 学会等名
      第40回土木学会関東支部新潟会研究調査発表会
  • [学会発表] 光学式反射型固体降水種別判別・降水強度計を用いた種別判別と降水量推定の短時間間隔測定法の改良2022

    • 著者名/発表者名
      小柳颯輝、瓜生大地、熊倉俊郎、中井専人、安達聖、鈴木紘一、山崎正喜、斎藤隆幸、山倉祐也
    • 学会等名
      第40回土木学会関東支部新潟会研究調査発表会

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公開日: 2023-12-25  

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