研究課題/領域番号 |
22K04663
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研究機関 | 苫小牧工業高等専門学校 |
研究代表者 |
鳥田 宏行 苫小牧工業高等専門学校, 創造工学科, 准教授 (50414264)
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研究分担者 |
田中 規夫 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (80323377)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 津波 / 減勢効果 / 海岸防災林 / 立木破壊モデル / モーメント |
研究実績の概要 |
津波が海岸防災林に及ぼすモーメントは、立木の耐性を超えると幹折れなどの破壊現象を引き起こす。この現象を力学的に表現した津波の立木破壊モデルの開発には、枝下高に関する情報が必須である。しかしながら、自然に乱立する樹木を対象に、これを推定することは容易ではない。そこで、より精度の高い立木破壊モデルを開発するため、枝下高の推定モデルを開発した。モデルは、生物の成長に関する基礎理論であるアロメトリー式に基づき、相対幹距と樹冠率を変数として用いた。推定モデルの樹種は、日本の海岸林の主要樹種であるクロマツを対象とし、解析にはデータセット1(北海道54カ所)、データセット2(本州43カ所)、データセット1+2の3パターンを用いた。その結果、RMSEは、上記データセット順に、それぞれ0.42, 0.71, 0.57を示し、十分な精度をもったモデルが構築された。クロマ海岸防災林の津波減勢効果および森林の被害状況を検証するため、数値シミュレーションを行った。林帯幅は、300mに設定して林帯幅を3分割し、海側林分を中庸管理(収量比数0.8-0.9)、中間林分を疎管理(収量比数0.6-0.7)、陸側林分を密管理(無間伐)および中庸管理とする2パターンを想定した。検証は林分の成長段階毎に行い、海岸林の成長と共に減勢効果が如何に変化するのかも検証した。想定した津波の高さは、5m、10m、15m、20m、25mである。津波高10m以上では、多くの立木は根返りになるが、密管理の林分では、幹折れが発生した。幹折れによる折損部位は津波に流されて家屋や人に大きなダメージを与え、2次被害の要因になるため、ダメージコントロールの立場からは、幹折れ被害は軽減したい課題である。一方、津波の減衰効果に関しては、陸側に密管理林分を配置した林帯構成が、陸側に中庸管理林分を配置した林帯構成よりも減勢効果が高いことが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
計画通りに進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度にコロナウィルスの影響で,調査および研究打ち合わせを最小限にとどめたことと,学術会議における研究発表がオンライン開催となったため,次年度使用額が生じた。次年度もその影響が残り、若干の繰越金が生じたが、最終年度は計画通りに使用する予定である。
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