研究課題/領域番号 |
22K04664
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研究機関 | 国立研究開発法人防災科学技術研究所 |
研究代表者 |
佐藤 研吾 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 雪氷防災研究部門, 主任研究員 (70795632)
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研究分担者 |
中村 一樹 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 雪氷防災研究部門, 主任研究員 (50725231)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 着雪検知機の開発 / 着雪の面的予測情報の構築 |
研究実績の概要 |
着雪や落雪の状況把握及び予測情報構築のための逐次補正の情報として、観測データは必要である。しかしながら着雪状況を検知する装置が存在しないことを踏まえ、申請者らは特許出願済(特許出願2020-52168 着雪量測定装置)の装置の作成を行った。着雪現象は、強風下において大きく発達するため、装置形状は八角柱状に設計し、着雪方位が把握可能で上面で冠雪状況も把握可能な形状とした。着雪検知のためのセンサーには近赤外計と照度計を設置し着雪の有無を確認することとした。センサー基盤にはワイヤレス通信モジュールを組み込み、遠隔地からのデータ通信を可能とした。 センサーによる観測結果に基づきリアルタイムで着雪状況を面的に把握するシステム設計を行った。情報はwebブラウザ上で地理院地図のGIS情報とともに確認できる表示システムとして「観測データによる逐次補正を考慮した着雪予測情報のシステム」の開発を行い、観測されたリアルタイムでの着雪モニタリングデータの情報が反映されるシステムとした。 このシステム構築により時々刻々と変化する着雪状況が把握可能となり、着雪予測データの高精度への寄与が期待される。なお上記により得られるモニタリング情報に加えて天気予報で用いられている気象庁の5kmメッシュで発信される気象情報も重ねることにより、気象状況も加味した総合的な着雪危険度判断が可能なGISシステムを構築する予定である。着雪検知機の開発においては、センサー感度や筐体の形状などについて検証を繰り返すことが必要である。2年目以降は、冬季観測による着雪検知機と構造物の着雪状況の比較検証を行い、センサー改良やシステム改良を継続するほか、検知機の高度化を実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目に予定されていた着雪検知器の開発においては、予定通り、システムや筐体設計を行い、試作機を作成した。乾雪、湿雪の判別可能と考えられる近赤外センサーを採用して作成するとととも、着雪現象が風向依存性が高いことから着雪方位を把握可能となるように八角柱として作成した。検知データについては、通信モジュールにより外部サーバにデータを保存可能とした。また、観測データを表示するための面的表示システムでの表示を可能とした。 面的情報のシステムについては、気象庁の予測データと着雪モデルによる着雪現況情報と観測データが連動するシステム設計を行った。 2年目には面的情報と観測データの連動による現況データ補正及び予測データの逐次補正に資するシステム構築と稼働及び観測データの検証を実施する。
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今後の研究の推進方策 |
今年度作成した着雪検知機器を用いて冬季観測を実施し、様々な検知データの蓄積を行う。観測データを用いた性能検証により、センサーの種類や筐体形状についても妥当性については検討する。着雪状況の情報システムについてはシステム機構を検証するととともに、センサーから送られるデータとの連動のシステムを構築する。 着雪検知機の開発においては、野外観測での実証試験と弊所低温室を利用した雪の付着に関する環境を再現することにより、検証を行う。弊所の有する雪氷環境実験棟は、世界で唯一、自然の樹枝状結晶を降雪させることが可能な低温実験施設であり、研究開発における検証が効率的に実施可能である。また、弊所敷地内においては観測露場があり、屋外における冬季着雪観測も可能である。 面的情報システムと観測データを連動するシステムを構築し、着雪の危険度把握に資する情報を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍を考慮し、着雪検知器の設計及び表示システムに関する打ち合わせについては web会議により進めたため、旅費利用がなかった。今年度以降は、検知器及びシステム設計の改良など詳細な打ち合わせや学会発表などの利用を検討している。
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