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2023 年度 実施状況報告書

高圧場を利用した新規Mg合金の探索

研究課題

研究課題/領域番号 22K04670
研究機関愛媛大学

研究代表者

松下 正史  愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (90432799)

研究分担者 飯久保 智  九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (40414594)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードマグネシウム合金 / Ti / 高温高圧
研究実績の概要

◇微細な二相組織を持つ合金の作製と機械特性の解明
Mg85Zn6Y9合金は常圧では18R-type LPSO単相をとるが、3GPa以上で高温高圧処理するとD03/hcpの二相構造となる。本合金の高圧場での凝固組織は、5GPaでラメラ組織、10GPaでコア-シェル型の球晶、15GPaでデンドライトと変化していく。5GPaから10GPaへの変化は、圧力の増加によって拡散が抑制されたため、層状ラメラ組織が発達できずコア部では微細粒状組織が生まれ、その後、コラム状組織が発達したと解釈できる。一方、15GPaで凝固した試料には、デンドライトが発達しており、10GPaで凝固した試料より大きな結晶粒も散見された。拡散係数が10GPaよりも抑えられているにもかかわらず、このような結果生まれたのは、冷却過程にため込まれたひずみエネルギーをdriving forceに粒成長が促進されたと考えられる。これらの結果を論Journal of alloys and compoundsに発表した。
◇高圧・高温を用いたatomic mixingによる非混和系での新規構造の探索
常圧下ではMgの沸点がTiの融点よりも低いため、両元素が液相にはなる温度領域は存在しないが、圧力によってMgの沸点を大きく上昇させ、両元素を液相かし、急速凝固させた。昨年度に引き続き、愛媛大学での高温高圧処理実験、ならびにSPring-8のQST占有ビームラインで高温高圧その場XRDを実施したところ、ほぼTiからなるFCC相がTEMで観察できた。さらに分析を進めた結果、FCC相はTi5Si3の相と隣接している。Siは本合金に意図的に添加したものではないく、分析を進めた結果、高圧セルの部材の一部と試料が反応したと推測できた。そこで意図的にSiをTiに添加し高温高圧処理を行ったところ、TiベースのFCC相の形成が確認された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

◇微細な二相組織を持つ合金の作製と機械特性の解明
愛媛大学の高圧合成装置を用いた合成実験と、研究分担者による九州大学のサーバーを利用した第一原理計算が相補的に進展しており、密接な連携のもと高圧での相分離についての理解が進んでおり、一報の論文が発表された。おおむね順調に進展しているといえる。
◇高圧・高温を用いたatomic mixingによる非混和系での新規構造の探索
TiベースのFCC相が発見され、この発見が混入したSiの影響によることを明らかにした。想定外のコンタミネーションに基づく結果であるが、興味深い発見であり順調に進展していると考えている。

今後の研究の推進方策

◇CANaPsの高圧相の探索
Mg98.6Zn0.4では CANaPs (Cluster-arranged nanoplates) のと呼ばれるLPSO中のZn-Y濃化層と同様のCAL(cluster arranged layer)がα-Mgと交互に積層したミルフィーユ構造が観察されている。本合金ではα-Mg過飽和固溶体からZnとYがhcpの(0001)に析出することでCANaPsが形成される。上記析出機構は鈴木効果によると研究者らは考えているが、本相が高圧下で形成するか否かを明らかにし、LPSO形成、非形成条件について明らかにすることを目指す。
◇高圧処理によるTi基FCC相の探索
Ti基の新しい相を発見した。Ti合金でのFCC相の作成を各種元素で実施する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Formation process, microstructure, and mechanical properties of an ultrafine dual-phase alloy formed through phase transition of 18R-type long-period stacking ordered in Mg85Zn6Y9 under high pressure2024

    • 著者名/発表者名
      Matsushita Masafumi、Kawabata Yuki、Nakata Yudai、Tanaka Shinji、Masuda Kohtaro、Yamauchi Daiki、Shinmei Toru、Higo Yuji、Yamasaki Michiaki、Kawamura Yoshihito、Iikubo Satoshi
    • 雑誌名

      Journal of Alloys and Compounds

      巻: 970 ページ: 172457~172457

    • DOI

      10.1016/j.jallcom.2023.172457

    • 査読あり
  • [学会発表] 高圧下で相分離するMg85Zn6Y9合金の凝固組織と機械特性2023

    • 著者名/発表者名
      松下 正史、中田 雄大、川端 勇輝、肥後 祐司、新名 亨、河村 能人、山崎 倫昭、飯久保 智
    • 学会等名
      第64回高圧討論会
  • [学会発表] 高圧下で凝固されたTi合金中のFCC構造2023

    • 著者名/発表者名
      松下 正史、渡辺 舜、松藤 裕和、内海 伶那、齋藤 寛之
    • 学会等名
      2023年(第173回)日本金属学会秋季講演大会

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公開日: 2024-12-25  

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