研究課題/領域番号 |
22K04674
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
鳥塚 史郎 兵庫県立大学, 工学研究科, 教授 (60354271)
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研究分担者 |
伊東 篤志 兵庫県立大学, 工学研究科, 助教 (40817657)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 高温 / 転位密度 / 積層造形 / Inconel738 / 放射光 / その場引張試験 / 高温X線回折 / Spring-8 |
研究実績の概要 |
析出強化型であるInconel738LC合金に対して高温X線回折その場引張試験を行い,高温力学特性と変形中の高温転位密度を調査した. まず,Inconel738LC合金粉末を用いて,SLM方式である松浦製作所製LUMEX Avance-25により積層造形を行った.造形条件はレーザーパワー210 W,レーザー走査速度625 mm/s,積層高さ0.05 mmであった.作製したブロックより薄板引張試験を切り出し,SPring-8の30 keV(波長0.4133 Å)の高輝度X線を用いて,高温X線回折その場引張試験を行った.試験温度は室温および400,675, 725, 1000 ℃とした. 室温においては870 MPaの引張強さと5 %程度の全伸びが得られた.これは市販鋳造材の特性945 MPaの引張強さと7.5 %の全伸びに近い値であった.一方,試験温度を上げると,引張強さと伸びが単調に減少した.各変形温度における破断した試験片のX線回折プロファイルを調べたところ,試験温度が1000℃まで上昇するにともない,γ’相のピーク強度は増加した.したがって,γ’相の体積率の増加が,延性の低下をもたらしたと考えられた.転位密度も算出できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
Ni基超合金の高温X線回折その場引張試験法を確立し,γ相の析出挙動の把握に加え,転位密度測定ができるようになったため.
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今後の研究の推進方策 |
Ni基超合金の高温X線回折その場引張試験を継続し,転位密度データを蓄積し,高温強度発現の本質に迫る.また,炭素鋼の高温X線回折その場引張試験ができるように準備を進め、実験を行い, 高温転位密度データを取得する.
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次年度使用額が生じた理由 |
SPring-8利用のための計画的執行のため。高温引張試験機改造とSPring-8利用費用に充てる。
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