研究課題/領域番号 |
22K04685
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
橋本 忠範 三重大学, 工学研究科, 准教授 (10271016)
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研究分担者 |
石原 篤 三重大学, 工学研究科, 教授 (60212908)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | pH電極 / ガラス電極 / 金属電極 / 比較電極 / 作用電極 / 琺瑯電極 / 合金 / 全固体型 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,(1)内部液を用いない全固体型比較電極および(2)これを用いた全固体型pH複合電極の開発である。 (1)現在,流通しているpH複合電極は,100%の高pH感度を示す作用電極と0%の低pH感度を示す比較電極から構成されている。比較電極は内部液をわずかながらに流出させることで被検液との電気的接触を実現している。ガラスを用いた内部液を用いない全固体型pH複合電極は世界的にもほとんど例がない。内部液を用いない全固体型pH複合電極は,内部液を収納する空間が不要になり,電極の小型化が可能となる。これまでに申請者が見出した比較電極用Ag2O-TeO2ガラスおよび関連ガラスを用いて全固体型比較電極を開発する。 (2)比較電極用Ag2O-TeO2ガラスおよび関連ガラス電極(あるいはこのガラスをステンレス(SUS)基板上に成膜・融着した琺瑯電極)と作用電極用Fe2O3-Bi2O3-GeO2ガラスおよびFe2O3-TeO2系ガラス電極(あるいは琺瑯電極)を用いた全固体型pH複合電極を開発する。 内部液を用いない全固体型比較電極に関しては,内部液を用いた比較電極としてAg-Te系合金が析出したAg2O-TeO2ガラス/SUS電極において10%程度の低pH感度が得られた。この結果については学術論文に掲載された。さらにAg2O-TeO2ガラス/Ti電極において更に低pH感度が得られることがわかった。 全固体型pH複合電極に関しては,内部液を用いない全固体型比較電極の開発が継続中のため,作用電極の組成探索を行った。候補にしていたFe2O3-TeO2系ガラスおよびFe2O3-TeO2系ガラス/SUSガラスでは目標とする高pH感度を得るのが難しいと判断した。この結果についても学術論文に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
内部液を用いない全固体型比較電極に関しては,おおむね目標とする材料の探索に成功したため。全固体型pH複合電極に関しては,候補の材料が不適切であるという決断に早期に至ることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
内部液を用いない全固体型比較電極に関しては,Ag2O-TeO2ガラス/金属電極において,ガラス形成酸化物の添加を行ったガラス系で著しい結晶化を抑制した試料作りを試みる。また,Ag-Te系合金が低pH感度の起源と予想されたので,ガラス,ガラス/金属(琺瑯)にこだわらず,合金系の探索を行う。 全固体型pH複合電極に関しては,Fe2O3-TeO2系ガラス以外のガラスとしてFe2O3-SiO2系ガラスの探索を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
元々R5年度に予算配分が大きく,R4年度で予算を無理に使い切る必要がないため。現時点では高温溶融のための電気炉を備品として検討している。
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