研究課題/領域番号 |
22K04699
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
岸本 堅剛 山口大学, 大学院創成科学研究科, 助教 (50234216)
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研究分担者 |
赤井 光治 山口大学, 国際総合科学部, 教授 (20314825)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 熱電材料 / クラスレート化合物 / 移動度 / 電子構造 / ゲスト原子の原子軌道 |
研究実績の概要 |
熱電材料としてクラスレート化合物が取り上げられた当初のモデルと違って,Ge系タイプ1クラスレートのキャリア伝導は,ホスト-ホスト間の混成軌道ではなく,ゲスト-ホスト間の混成軌道を利用している。したがって,そのキャリア伝導にはゲスト原子の原子軌道が影響する。従来の熱電クラスレートのゲスト原子はBaであった。代表者らはNaに着目している。Baのd軌道に比べて,Naのs軌道の方がキャリアにとって優良な伝導経路を形成できるのではないかと考えている。高性能材料を開発するために,最近合成したNa8Ga8Ge38を出発点として,その派生物の作製と特性評価を行った。 1.カゴサイズ増減の影響:混晶化物Na8Ga8Ge38-xSixおよびNa8Ga8Ge38-xSnxのサンプル作製を試みた。前者ではx=4まで,後者ではx=0.5まで置換できた。その結果,格子定数は,それぞれ-0.3%と+0.14%だけ変化した。しかし,不純物相が存在したため,キャリア移動度は増加しなかった。 2.ホスト置換原子の変更:ゲスト-ホスト間の混成軌道の形成には,Gaなどのホスト格子上の置換原子の存在が不可欠である。従来のGaからAlあるいはZnに代えたクラスレート化合物を作製した。Na8Al8Ge38では,共有結合半径の違い(Al: 126 pm, Ga: 124 pm, Ge: 121 pm)から混成の度合いが増し,Na8Ga8Ge38に比べて有効質量が微減した。それを受けてキャリア移動度の向上が期待されたが,一方でキャリアに対する合金散乱が微増したため,そうはならなかった。また,フォノン伝導に対する合金散乱が増えたため,格子熱伝導率が下がった。その結果,Na8Al8Ge38は,Na8Ga8Ge38に比べて高い無次元性能指数ZTを示した。Na8Zn4Ge42では,共有結合半径の違い(Zn: 118 pm, Ga: 124 pm)から混成の度合いが減り,Na8Ga8Ge38に比べて有効質量が増加した。その結果,キャリア移動度は減少した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに実験を進めることができた。その中で,Na8Al8Ge38では高性能化を達成した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通りに進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
主な理由は次の3点である:1.原材料費を節約した。2.学生の都合が合わずに,一部の学会発表を取りやめた。3.学内共用機器が故障したため,その利用が一部制限された。次年度分予算と合わせ,それぞれの使用項目の内容を少し増やして使用する。
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