研究課題/領域番号 |
22K04710
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
竹内 健司 信州大学, 学術研究院工学系, 准教授 (20504658)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 逆浸透膜 / 高透水性 / ジアミン / セルロースナノファイバー |
研究実績の概要 |
世界的に水問題が深刻化しており、SDGsの重要なテーマになっている。その中でも特に淡水の汚染が拡大し、殊に途上国の水道水の水質レベルが著しく低く感染症等の原因にもなっている。本研究の目的は、開発途上国を中心とした需要が急拡大しているPOU(Point of use)用途(水道水や地下水など)の大幅な水質改善を達成することである。すなわち、逆浸透(RO)膜において、①高い分離性能(CaCl2: 99%)を維持しながら、ポンプレスで十分使用可能な水道水程度(0.2 MPa)の②超低圧で超高透水(1.5 m/d)と③ロバスト性(防汚性(有機・無機の汚れ)、耐薬品性⇒長寿命化、低コスト化)が得られる革新的なRO膜を実現するための基礎科学を確立する。そこで、初年度の令和4年度は、超高透水膜に適した膜構造の構築(分子間の超微細な隙間の拡大)のために、まずポリアミドの界面重合に一般的に用いられているジアミン(主剤)であるメタフェニレンジアミン(MPD)に数十種類ある他のジアミンから高透水性に寄与の可能性のジアミンを選択・添加して新構想のポリアミド膜の形成を試みた。すなわち、6種のジアミンをMPDに最適に添加することで、高透水性に寄与する膜構造の立体構造が確認され、透水性が大きく向上した。次年度において、透水メカニズムの解明に加えて更なる高透水性に寄与するジアミンの探索、セルロースナノファイバー(CNF)の複合を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RO膜の活性層であるポリアミド膜形成には脱塩性・透水性のバランスから用いるMPD(主剤)が用いられているが、高透水性に寄与できるジアミンもあるのでそれらを複合して使用することで、透水性向上を図った。その結果、MPDに新主剤のジアミンを適量添加することで、脱塩性を維持したまま、1.7倍の高透水性を達成した(目標の半分程度)。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目標を達成するべく、今後以下の検討を効率的にさらに進める。①更なるジアミン探索・透水メカニズム解明、②CNF複合最適化:構造選定・添加濃度、シランカップリング等による表面改質、③超高透水に適したPSU支持膜の構造:孔径分布制御、④膜表面改質:ひだ増大、親水化をそれぞれ検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度は基礎的検討を優先したため予定の備品が購入できなかった。そのため、次年度において当初請求額と合わせて備品費と消耗品費として使用する。
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