研究課題/領域番号 |
22K04715
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研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
友野 和哲 関東学院大学, 理工学部, 准教授 (40516449)
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研究分担者 |
本田 暁紀 東京理科大学, 理学部第一部化学科, 助教 (10812977)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 水素発生 / 層状酸化物 / 層間金属錯体 / 価数制御 / 反応メカニズム |
研究実績の概要 |
層状MnO2の層間に酸化還元活性な金属錯体を挿入することで,比容量が増加することを初めて見出した。さらに,波長依存の光電流(5倍)を示した。層間の金属錯体種の違いにより低エネルギーで水電解によるガス発生が進行し,作製膜の触媒能を観察した。 本研究課題の目的は,金属錯体(Co, Fe, Ni, Ru系)/ 層状MnO2薄膜を作製し,①良導電性竹炭/CNTとの複合による触媒能向上(電気分解の高効率化),②電解装置直結のガスクロ-in situ分析による反応速度論的解析と電子伝達機構を明らかにすることである。 2022年度では,(1)竹炭/CNT混合膜との金属錯体/層状MnO2のバインダーフリー水電解触媒を作製し,電流―電位曲線からTafelプロットを行い,各種条件での水電解反応の開始電位を明らかにした。CoとRu錯体を中心に進め,(2)金属錯体の配位子変更(非π共役系のみおよび非π共役系とπ共役系)を行った。(3)金属錯体の吸収波長の光照射を行い,光照射によるガス発生について検討した。 条件を最適化することで,全サンプルでガス発生を確認した。水素ガス発生のメカニズムが分光分析により明らかになった。本研究で用いる層状マンガン酸化物のマンガンは混合原子価状態(Mn(III)/Mn(IV))である。このMn(III)がMn(IV)に酸化する際の電子が水素発生に関係していることを明らかにした。また,Mn(III)とMn(IV)の比率は,層間イオンや作製電位および各種添加剤等で制御できることも明らかにした。一方で,水素発生に対して膜が剥離する場合と剥離しない両方の場合があり,どちらの現象がどういう条件で起きるかは明らかに出来ていない。今後は,ガスクロin-situ分析の設置も含め詳細にガス発生および関連する反応について詳細に検討を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各種の系統的な実験により,水素発生メカニズムの推定ができた。また,水素発生を多くするための混合原子価状態のMn(III)/Mn(IV)の比率を制御する指針も得た。 一方で,in-situガスクロの設置が進んでいない。半導体および輸送費等の高騰により,申請時の予算での設置が困難となった。具体的には,反応装置の3DCADによる設計と各種反応ラインの製造・組立を自身で行う必要が生じた。製図および反応ライン製造については目途がついたが,実施計画の遅延とin-situガスクロの設置のための予算を繰り越した。2023年度の秋を目途に,in-situガスクロによる設置を終え,より詳細な反応機構解明に関する実験計画を進める。
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今後の研究の推進方策 |
電解液を変更することで水素発生量が変わることがわかっている。電解液の選定を進める。また,層間金属錯体の配位子と金属イオンの変更を行い,水素発生の基板の最適化を進める。また,in-situガスクロの設置を進め,より詳細な反応機構を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
前述のとおり,半導体および輸送費等の高騰により,申請時の予算での設置が困難となった。具体的には,反応装置の3DCADによる設計と各種反応ラインの製造・組立を自身で行う必要が生じた。 製図および反応ライン製造については目途がついたが,実施計画の遅延とin-situガスクロの設置のための予算を次年度使用額とした。2023年度の秋を目途に,in-situガスクロによる設置を終え,より詳細な反応機構解明に関する実験計画を進める。
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