研究課題
2023年度では、本研究で着目するγ”-Ni3Ta相の析出する Ni-Fe-Cr-Ta単純系合金において粒界析出挙動の調査を実施した。また、次年度に実施予定のクリープ強度に及ぼす粒界析出挙動を評価する研究の予備実験として、実用Ni基合金(718合金)及び718合金のNbをTaに完全置換した改良合金(Ta-718)において組織評価及びクリープ試験を実施し、比較を行った。得られた主な知見を以下に記す:・Ni-Fe-Cr-Ta系4元合金のTaをMo置換またはHf置換した合金では不連続析出が促進されること、一方、同合金のTaをV置換した合金ではα-(Cr, V)が粒界に微細に連続析出することを見出した。得られた知見を利用し、来年度にクリープ強度に及ぼす粒界析出物の形態の効果を評価する。・Ta-718合金では、718合金同様のγ”相(D022)による微細整合析出組織が得られ、その熱的安定性は718合金に比べて高いことが見出された。・Ta-718合金は718合金に比べて、最小クリープ速度は同等またはやや速いが、クリープ速度の加速はより緩やかに生じ、より長いクリープ寿命を示す結果が得られた。認められた両合金のクリープ寿命の差には、粒内析出状態(サイズ、安定性および強度)の違いが起因する可能性が考えられ、次年度のクリープ速度に及ぼす粒界析出の影響を調べる研究において粒内析出物の影響も考慮する必要性が示唆された。
2: おおむね順調に進展している
計画通り研究が進んでいる。
2024年度では、2023年度までに得られた知見を踏まえ、γ”-Ni3Ta相で析出強化した Ni-Fe-Cr-Ta系合金においてクリープ試験を行い、粒界析出および粒内析出の影響を評価する。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)
R054 カーボンニュートラル実現のための耐熱材料委員会 研究報告 独立行政法人 日本学術振興会
巻: Vol .1 No. 1 ページ: 25-34