研究課題/領域番号 |
22K04739
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
渡邉 賢 九州大学, 総合理工学研究院, 准教授 (90552480)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 一括焼結型全固体電池 / ガーネット / 層状岩塩 |
研究実績の概要 |
一括焼結電池では、複合正極内における正極活物質とLLZの混合状態、微細構造、正極活物質の混合導電性によって、電池特性が制御可能と考えられる。特に、焼結を用いるため正極活物質のみを緻密化させた緻密電極やLLZ/正極活物質混合電極と緻密層を積層させた電極構造など様々な電極構造を適用可能となる。そこで、本研究では、一括焼結電池ならでは電極構造の設計に取り組んだ。 昨年度までに、複合正極中の活物質/固体電解質比率と充放電特性の関係を調査した結果、活物質比率が高くなるにつれて、劣化が顕著となることがわかった。サイクル後の電池には、正極|固体電解質界面にクラックや剥離がみられたことから、充放電に伴う活物質の体積変化に伴う物理的なLiイオン伝導パスの断絶が特性低下の主要因と考えられた。本年度は、活物質のローディング量を増大かつサイクル安定性も付与するため、正極|固体電解質界面側に固体電解質リッチ複合正極を緩衝層として形成し、そのうえに活物質のみからなる緻密層の形成を試みた。スラリードロップ法により緩衝層と活物質緻密層の積層を試みたが、スラリー濃度、滴下量、乾燥時間により膜の剥離等がみられた。積層条件の最適化により、最終的には緩衝層、活物質緻密層それぞれ5μmで積層することが可能となり、一括焼結後も膜の剥離などはみられなかった。活物質緻密層のみを電極とした場合には、サイクル劣化がみられたが、緩衝層を形成することでサイクル劣化を抑制できることがわかった。以上のことから、電極構造の最適化により活物質緻密電極を一括焼結型全固体電池に応用できることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定どおり緩衝層の導入により、活物質緻密電極のサイクル劣化改善効果を見出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
緩衝層と活物質緻密層のそれぞれに適した材料組成について検討を行う。また、力学特性改善に有用な第二成分の添加について検討する。
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