研究課題/領域番号 |
22K04755
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
牧村 哲也 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (80261783)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | シリコーンエラストマー / 極端紫外光 / マイクロ・ナノ加工 / アブレーション / 精密加工 / 生体適合性ポリマー |
研究実績の概要 |
本課題では、波長が10ナノメートル前後の光(極端紫外光)を光源とし、これを強照射することで材料の表面が削り取られるアブレーション過程を研究する。さらに,その成果を応用して生体適合性ポリマーのマイクロメートルのスケールでの精密加工を行う方法を研究する。とくに、波長が短いことを利用して、高アスペクト比の3次元構造を作製することを目指す。光源として、レーザー光をターゲット材料に集光照射してプラズマを発生し、そのプラズマから輻射されるパルス幅10ナノ秒の極端紫外光を用いる。光子エネルギーが大きいため、熱溶融、表面に発生したプラズマによるエッチングなどによる加工形状の劣化を抑止できる可能性がある。本研究では、ステンシルマスクを通して極端紫外光を厚さ10マイクロメートルのシリコーンエラストマーに照射し、直径が2マイクロメートル以下の貫通孔を加工できることを示した。照射回数当たりの加工深さDは、相互作用長aとアブレーション閾値I0を用いて, 光強度IとD=1/a ln(I/I0) の関係にある。この相互作用長は、材料表面に入射した極端紫外光が相互作用し,アブレーションに至る深さであると理解できる。極端紫外光を用いた場合は,光吸収長よりは短くなる特異な傾向を示す。さらに、サブマイクロメートルのスケールでの加工形状を明らかにするため、一辺が20マイクロメートルの四角形の開口が配列しているマスクを通して加工を行った。加工後、複数の角度から撮影した走査型電子顕微鏡写真を3次元再構成した。その解析の結果,長方形の形状に削られるが、壁面は傾いている。照射回数を増やすと壁面が垂直に近付くことが明らかになった。マスクを通過した後,壁面に近い領域では強度分布があることがあることがその要因であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
極端紫外光を用いた炭素系のポリマーおよびシリコン系のシリコーンエラストマーのアブレーションでは、加工に適したアブレーション特性を有することを見出した。すなわち、吸収された光のエネルギーが拡散する前に、アブレーションに至る。したがって、サブミクロンの長さ領域では、エネルギー拡散は重要ではなく、光のビームプロファイルの制御に注力すれば、精密加工が実現できることが明らかになった。また、電子顕微鏡像からサブマイクロメートルの3次元構造を解析する3次元復元の手法を開発し、精密に加工形状を得られるようになった。これにより,ビームプロファイルと加工形状の関係を明確にすることができる。 これらにより、予想していた以上に順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
実用上、比較的広い面積、高いスループット、光学系等の精密制御による高い再現性を追求する。そのためのマスクの作製法の確立、光学系制御装置の導入を進める。これによりバイオテクノロジーの分野に応用する。
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次年度使用額が生じた理由 |
加工用の極端紫外光を垂直に入射しても、加工した構造の壁面に傾きがあり、これがプロセスパラメータに依存することが明らかとなった。そのため、構造解析の方法の確立と加工形状の分析に時間がかかった。このように実験を行うよりも解析を行う研究に注力したため計画よりも次年度使用額が増えた。次年度は、解析結果を活かした実験的研究を行う。
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