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本研究では末梢血管の狭窄や深部静脈血栓症などの治療をより効果的に行うため,TiNi形状記憶合金を用いた高い血管拡張力を有するステントの開発を行った.予め高加工率で冷間加工して加工硬化させたTiNi形状記憶合金を素材に使用し,必要最低限の熱処理によって本ステントを作製するプロセスを提案した.その結果以下の主要な成果を得た. 1.拍動による変形(拡径⇔縮径)を考慮した高拡張力TiNi形状記憶合金のFEM解析を行い,変形に伴う応力やひずみの分布を明らかにした.その結果,次に述べる疲労破断の様態と定性的に一致することを確かめた. 2.拍動を模擬した空気中での疲労試験装置を作製し,これを用いて疲労寿命を明らかにした.具体的には最も血管拡張力が高くなる条件で作製したステントにおいても現行同等品と同等の疲労寿命を有することを示した. 3.ステントの表面性状を改善するための電解研磨プロセス最適化を行い,各研磨パラメータの表面性状に与える影響を明らかにした.まず基礎検討としてTiNi形状記憶合金線材を用いて電解液の成分や温度,印加電圧,電極間距離などを種々に変動させた検討を行って最適条件を見出した. これらの成果を踏まえ,今後はステントの疲労特性改善に焦点を当てた検討が必要になると考えている.具体的にはステント形状試験片を用いた電解研磨条件およびその前処理方法の検討である.さらに,生体中の環境を模擬した疲労試験での疲労特性把握とその改善方法の検討も必須であると考えている.
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