研究課題/領域番号 |
22K04766
|
研究機関 | 大阪産業大学 |
研究代表者 |
草場 光博 大阪産業大学, 工学部, 教授 (70268283)
|
研究分担者 |
坂上 仁志 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (30254452)
橋田 昌樹 東海大学, 総合科学技術研究所, 特任教授 (50291034)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | ナノ秒紫外レーザー / 非熱的加工 / ダブルパルス |
研究実績の概要 |
超スマート社会の実現に向け高性能かつ精密な電子デバイス開発が行われており、同時にレーザー加工技術もより精密な超微細加工が要求されている。半導体材料への加工は、機械的衝撃や熱による物理化学的性質を損なわず、容易に微小領域の加工ができる方法が必要不可欠である。そこで今までに解明してきたナノ秒紫外レーザーによる半導体材料表面への非熱的微細構造形成の結果を基に、超解像顕微鏡で利用されているコヒーレント相互作用技術を利用し、2台のナノ秒紫外レーザー(エキシマレーザー)を組み合わせた超微細加工システムを構築し、従来のレーザー加工では達成できていない回折限界を超えた10nm程度の超微細加工を目指す。 令和4年度は、現有のXeClエキシマレーザー(発振波長308nm)加工システムに2台目のレーザーとしてKrFエキシマレーザー(発振波長248nm)を組み込むべく、KrFエキシマレーザーを用いたレーザー加工システムの光学系を設計・製作を行った。この加工システムを用いてAlのアブレーション閾値を測定したところ、アブレーション閾値(融解閾値)が約0.93[J/cm^2]であることが分かった。また、ナノ周期構造形成の機構の解明のため電磁粒子シミュレーションを行った。周期構造のレーザー強度依存性および構造形成の時間変化について解析した。レーザー波長800nmのフェムト秒レーザーについて、レーザー強度を1X10^15 から5X10^16 [W/cm^2・μm^2]まで変化させたときのナノ周期構造について解析したところ、レーザー強度が2X10^15 から5X10^16 [W/cm^2・μm^2]において周期間隔が約400nmのナノ構造が形成されることが分かった。また、ナノ構造形成の時間変化を解析したところ、レーザー照射開始から500fsまでは時間経過とともに周期間隔が長くなっていくことが分かった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
KrFエキシマレーザー用光学部品(レンズ、ミラー、波長板、偏光素子)の一部が海外からの輸入のため、大幅に納期が遅れたことによる。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究では、エキシマレーザーを用いた非熱的超微細加工システムの設計を行うための基礎データとなる各種材料のアブレーション閾値フルエンスを求め、周期構造形成シミュレーションの解析結果と比較することでアブレーションのメカニズムを解明する。さらに波長の異なる2台の紫外レーザー(エキシマレーザー)を組み合わせたダブルパルス紫外レーザー加工システムの構築を進めていく。 1)非熱的加工メカニズムの解明:令和4年度に構築したKrFエキシマレーザー(発振波長248nm)を用いた加工システムを用いて、各種材料のアブレーション閾値の測定を行い、XeClエキシマレーザー(308nm)を用いた場合のアブレーション閾値の結果と比較することでアブレーション閾値の波長依存性を調べる。また、令和4年度分担研究者の坂上教授が定年退職にともない分担研究者から外れることになったため、研究代表者が電磁粒子シミュレーションを行うために研究環境を整備し、引き続きフェムト秒レーザーを用いたシミュレーション結果との比較・検討を行うことで、より詳細なアブレーション過程の解明を行い、非熱的レーザー加工の物理モデルを構築する。 2)ダブルパルス紫外レーザーを用いた超微細加工用光学系の設計・製作:KrFおよびXeCエキシマレーザーを2台使用したダブルパルス紫外レーザーによる超微細加工システムを構築する。 3)ダブルパルス紫外レーザーを用いた加工システムの性能評価:製作したシステムの性能評価として2台のレーザーのレーザーフルエンス、遅延時間、空間オーバーラップなどをパラメータにした加工実験を行う。
|