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2023 年度 実施状況報告書

β相およびAl-rich-α相の形態制御による高耐食性Mg-Al-X合金の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K04774
研究機関富山大学

研究代表者

畠山 賢彦  富山大学, 学術研究部都市デザイン学系, 准教授 (30375109)

研究分担者 佐藤 紘一  鹿児島大学, 理工学域工学系, 教授 (30378971)
安永 和史  公益財団法人若狭湾エネルギー研究センター, 研究開発部, 主任研究員 (20404064)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードマグネシウム合金 / 腐食
研究実績の概要

本研究は、Al-rich-α相単相の腐食特性とα相のAl濃度依存性を包括的に解明する。水酸化皮膜Mg(OH)2が各相の表面でどのような保護性を持つのかを解明する。これらを基にAl-rich-α相、β相の形態最適化を行う(Mg-Al-X合金の化学組成の調整)ことを目的として計画している。今年度は、前年度に行ったMg-Al-X合金(X=Ag, Zn, Pb, Sn)の分極試験や組織観察結果で得られたデータを基に、β(Mg17Al12) 相の安定性をを調べる目的と、その形態を制御する手段としての熱処理条件を検討した。前者は第一原理計算によるシミュレーションで得られたβ相の安定性評価の結果との比較のデータとしても用いる。500 K付近での熱処理温度と時間を数条件からスクリーニングし、一部の試料でβ相を完全に溶解させることに成功した。
また、表面の水酸化皮膜Mg(OH)2の厚さについて前年度に得られたMg-Al二元系合金の電気化学インピーダンス試験の結果を基に、分光エリプソメトリーによる皮膜厚さの直接観察を試みた。皮膜厚さは分光エリプソメトリーとインピーダンス試験の間で一部定性的に一致したが、一致しないAl濃度の試料も認められたことから、全ての皮膜が同じ構造でないことや、皮膜の成長速度、平衡状態での厚さが違う可能性が示唆された。従って、マグネシウム合金の複雑な耐食性の変化は各相上の皮膜の構造や厚さの複雑な違いによって生じると思われる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Mg-Al-X合金(X=Ag, Zn, Pb, Sn)について、試料を作製し、β相とAl-rich α相を制御出来る熱処理条件を見出した。
その熱処理条件で熱処理しβ相などの体積割合を調整した試料の電気化学試験結果を取得済みであり、その解析から耐食性を向上する添加元素の探索とその組織制御についてほぼ完了している。
表面の水酸化皮膜Mg(OH)2の厚さや構造の調査についてはMg-Al系で分光エリプソメトリーとインピーダンス測定を併用することで測定手法は確立出来たが水中セル中での分光エリプソメトリーが実施出来る施設がないため十分な実験の実施が難しい。

今後の研究の推進方策

Mg-Al-X合金(X=Ag, Zn, Pb, Sn)のうち、SnとPb添加合金については、β相を溶解させる熱処理条件を見出したため、それによりβ相を全固溶させたり体積率を調整して金属組織の最適化を図る予定である。
α相、Al-rih α相、β相それぞれの皮膜は構造や厚さが異なる可能性が示唆されたことから、それらの同定のため電気化学インピーダンス試験と分光エリプソメトリーを相補的に用いて皮膜厚さの定量を行う他、その皮膜の構造をXPSなどで分析して皮膜の厚さや構造と耐食性の関係を解明する予定である。

次年度使用額が生じた理由

試料の作製について急冷凝固法を用いず、電気炉による熱処理でAl-rich α単相試料が作製出来たため費用が少なく済んだため、これらについては次年度に分光エリプソメトリーの費用に充てる予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Evaluation of hydrogen embrittlement in ODS-Cu, Cu-Cr-Zr, and Cu-Cr alloys using slow strain rate technique test2024

    • 著者名/発表者名
      Hatakeyama M.、Asai Y.、Nakato D.、Nishimura M.、Hatano Y.、Sunada S.、Sato K.
    • 雑誌名

      Nuclear Materials and Energy

      巻: 38 ページ: 101580~101580

    • DOI

      10.1016/j.nme.2024.101580

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Effect of crystalline structure on the corrosion behavior of the Co-Cr-Mo alloy in 2.5 M H2SO4 + 0.2 M NaCl solution2023

    • 著者名/発表者名
      Nakato Daichi、Hatakeyama Masahiko、Nunomura Norio、Sunada Satoshi
    • 雑誌名

      Corrosion Science

      巻: 223 ページ: 111471~111471

    • DOI

      10.1016/j.corsci.2023.111471

    • 査読あり
  • [学会発表] Mg-9Al 合金の腐食特性に及ぼす第三元素添加の影響2023

    • 著者名/発表者名
      岡田祥成、黒川莉瑚、畠山賢彦、砂田聡、中藤大地、安永和史
    • 学会等名
      日本金属学会北陸信越支部・日本鉄鋼協会北陸信越支部 令和5年度連合講演会
  • [学会発表] Evaluation of Hydrogen Embrittlement and SCC Resistance of ODS-Cu, Cu-Cr-Zr, and Cu-Cr Alloys by SSRT Method2023

    • 著者名/発表者名
      M. Hatakeyama, Y. Asai, Nishimura, Y. Hatano, D. Nakato, S. Sunada and K. Sato
    • 学会等名
      21st International Conference on Fusion Reactor Materials
    • 国際学会

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公開日: 2024-12-25  

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