研究課題/領域番号 |
22K04782
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
渡利 久規 東京電機大学, 理工学部, 教授 (90210971)
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研究分担者 |
羽賀 俊雄 大阪工業大学, 工学部, 教授 (00212134)
鈴木 真由美 富山県立大学, 工学部, 教授 (20292245)
河井 貴彦 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (50432323)
大橋 隆弘 国士舘大学, 理工学部, 教授 (80277821)
山崎 敬則 東京電機大学, 理工学部, 准教授 (80342476)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | マグネシウム合金 / 急冷凝固 / マルチマテリアル / シランカップリング / 接合 / 軽量化 |
研究実績の概要 |
今年度は(1)Mg合金急冷凝固時におけるβ相の析出制御による粗面化の状態を調査すること、および(2)シランカップリング処理の濃度と洗浄工程がMg合金/樹脂積層材の接合におよぼす影響について調査した.その結果、本研究では溶湯から直接的に高A含有マグネシウム(Mg)合金を急冷凝固する際にAl含有量の高いMg合金に対して、鋳造時の冷却速度,熱処理条件を変え,金属間化合物の分布形態を制御し表面にサブミクロンオーダーの凹凸を形成することを可能であることを見出した.1年目は、市販のAM60およびAZ31Bの展伸材を用いて引張せん断試験片を作成し、2種類のシランカップリング材を使用してエポキシ系の接着剤を使用して、接合したマグネシウム合金同士の引張せん断試験を行いエポキシ系シラン、および、アミノ系シランのカップリング処理に及ぼす、洗浄工程と乾燥工程が接合強度に及ぼす影響について検討を行っている.シランカップリング処理における水和皮膜は水分との接触により初期の緻密な酸化被膜の上下に成長することが報告されているため、水和皮膜の成長を抑制することができればMg合金にシランカップリング処理を適用することが可能であると考えられる。そこで、応力集中等の影響がない、円筒突合せ試験によって、相手材をベーマイト処理材としたA5052押出材として、AM60とA5052の円筒突合せ材の引張試験を行って、酸洗い工程後のすすぎ方法が精製水とイソプロパノールの二通りの場合に円柱突合せ継手の引張試験を行い水和皮膜の影響を調査した。その結果,イソプロパノールによるすすぎと精製水によるすすぎでは、表面に形成される皮膜の状態が異なり,接着強度及び継手の破壊形態が変化することが判明した。精製水によるすすぎでは、イソプロパノールによるすすぎの1.5倍以上の接合力になっていることを明らかすることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究の第1の実験として、市販材を使用した、Mg合金どおし2種類(AZ31、AM60)の接着試験、およびMg合金/樹脂の二層の引張せん断試験を行い、接合強度を明らかにした.当初の予定では、まずはシランカップリング材の濃度と洗浄条件がせん断強度に及ぼす調査を行うことを計画していたところ、シランカップ材の濃度に関しては、1%濃度のシランカップリング材であれば、エポキシ系シラン、およびアミノ系シランの、両者とも一定の接合強度が得られることを見出した. シランカップリング処理における洗浄時間、乾燥工程の影響を調査するために、洗浄時間と乾燥の影響については、洗浄時間は5分、乾燥工程では、110℃、5分の環境において、シラン層を硬化させる実験を行ったところ、110℃、5分の環境においてシラン層の硬化を促進させた場合には、若干のせん断応力の向上が見られたことを明らかにした.以上は、当初予定していた1年目の実験計画であったが、引張せん断試験では、応力集中等の影響があると考えられたため、当初予定していなかった相手材をベーマイト処理材としたA5052押出材として、AM60とA5052の円筒突合せ材(接着剤利用)の引張試験を行って、酸洗い工程後のすすぎ方法が精製水とイソプロパノールの二通りの場合に円柱突合せ継手の引張試験を行い水和皮膜の影響を調査した。その結果,イソプロパノールによるすすぎと精製水によるすすぎでは、表面に形成される皮膜の状態が異なり,接着強度及び継手の破壊形態が変化することが明らかとなった。引張応力の違いでは、精製水で洗浄した試験片は、30MPa以上の引張応力を得た.イソプロパノールによるすすぎの1.5倍以上の接合力が得られたことを明らかにした.当初予定していなかった、円柱突合せ継手の引張試験を行い水和皮膜の影響を調査まで進んだことを受け、当初の予定以上に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
今後は、当初予定していたとおり、Mg合金と樹脂の接合材の引張試験を行うことを進めていく。具体的には、以下の予定で進めていく予定である.(1)Mg合金/樹脂の2層接合材による引張せん断試験、(2)Mg合金/樹脂/Mg合金の3層接合材によるV曲げ試験、および絞り試験(3)冷間で曲げ成形が可能な、Sn含有の高Al合金の成形性向上の調査 樹脂とMg合金の接合においては、これまで、接着剤による接合方法が多かったため、今後は熱圧着による樹脂との接合することとする.まずは、市販の熱可塑性樹脂であるPPやPAのほか、熱硬化型樹脂についても、接合試験片を作成して、引張強度および成形性について調査してく予定である. 理想的には、Mg合金の両表面に樹脂コーティングを施した三層の積層材料を、無潤滑でドライプレスできる新しい材料を創成することを最終目標として、現在の研究を進めていくことを計画している.Mg合金の研究においては、できるだけ低コストで製造現場において使用できる材料を量産するための研究があまりないため、実用化に貢献できることを目標として今後も進めていく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
群馬大学における樹脂の結晶化の観測実験の実験がサンプル作成が遅れたために、年内の実験ができなくなり、次年度に行うこと(300000)とした。 また、国士舘大学においてFSWの接合実験を進めることになっているたが、今年度は③pる作成用の予備実験まで進んだだめ、次年度に実験用のサンプルを作成する予定(159027円)であるる。東京電機大学における残額は、次年度の樹脂(熱可塑性樹脂)のせん断試験用の購入費(5,830円)であり、この実験も今年度に行う予定である。
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