研究課題/領域番号 |
22K04796
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
下村 拓也 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 助教 (90639478)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | イオン液体+イオン液体混合物 / 相分離挙動 |
研究実績の概要 |
昨年度はまず初めに、これまで共通アニオンとして用いてきたbis(trifluoromethanesulfonyl)amide ([TFSA]-)に変えて、より疎水性が低いtrifluoromethanesulfonate ([OTf]-)をアニオンとするイミダゾリウム系イオン液体とホスホニウム系イオン液体を合成した。これらのイオン液体を用いて[OTf]-を共通アニオンとするイミダゾリウム系イオン液体+ホスホニウム系イオン液体混合物を調製し、相分離挙動を観測したところ、[OTf]-を共通アニオンとするイオン液体混合物の相分離温度は、[TFSA]-を共通アニオンとする混合物の相分離温度よりも約120℃高いことが明らかになった。すなわち、疎水性の低い共通アニオンを持つ混合物ほど相分離温度が高くなることが示唆された。 本年度は、[OTf]-よりもさらに疎水性の低いbromide([Br]-)をアニオンとするイオン液体を合成してイオン液体混合物を調製し、相分離挙動を観測した。また、[OTf]-よりも疎水性が大きいが、イオン半径が近いhexafluorophosphate([PF6-])をアニオンとするイオン液体も合成し、同様の実験を行った。 [Br]-を共通アニオンとする混合物の相分離温度は、[OTf]-を共通アニオンとする混合物の相分離温度よりも200℃以上高いことが明らかになった。一方で、[OTf]-よりも疎水性が大きいが、イオン半径が近い[PF6-]をアニオンとする混合物の相分離温度は、[OTf]-を共通アニオンとする混合物の相分離温度よりも約100℃高いことが明らかになった。これらの結果から、イオン液体混合物の相分離温度は、共通アニオンの疎水性以外の影響も受けることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画どおり、これまで共通アニオンとして用いてきた[TFSA]-以外の複数のアニオンでイミダゾリウム系イオン液体+ホスホニウム系イオン液体混合物の相分離挙動を明らかにし、共通アニオンがおよぼすイミダゾリウム系イオン液体+ホスホニウム系イオン液体混合物の相分離挙動の解明に資する実験結果が得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究結果から、共通アニオンを持つイオン液体+イオン液体混合物の相分離挙動は、アニオンの疎水性の影響以外も受けることが明らかになった。この影響を明らかにするため、種々のアニオンを有するイミダゾリウム系イオン液体とホスホニウム系イオン液体を合成し、これらの混合物の相分離挙動を観測する。
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次年度使用額が生じた理由 |
校費で物品購入費を多少賄うことができたため
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