研究課題/領域番号 |
22K04797
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
猪股 宏 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 特任教授 (10168479)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ナノ粒子 / 擬似分子モデル化 / PVT / 浸透圧 / 相当分子量 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ナノ粒子の擬似分子モデル化であり、そのサンプル策定が非常に重要である。対象サンプルについては、コア粒子をシリカ(S)とセリア(C)2種類、コア粒子径は製造設備の関係からまず~10nmの1種、修飾鎖種は炭素鎖長がC6、C10、C14の3種脂肪酸に絞っている。なお、生成粒子の精製の影響が大きいことが判明したため2回洗浄したサンプルを、測定対象とした。 ナノ粒子自体の圧力‐体積‐温度(PVT)測定は、本年度も継続実施した。具体的には、C10-セリア;C14-セリア粒子については、温度常温~200℃、圧力~200MPaの範囲で 測定した。同時に修飾鎖に利用した相当脂肪酸のPVTデータも獲得した。これらのデータを比較したところ、厳密なるコア粒子径の差異の影響が不明であるが、圧縮率については、ナノ粒子の値が修飾鎖分子より大幅に小さく、コア粒子に固定された炭素鎖の運動が制限されていること、この効果を修飾鎖のパラメータに反映させるモデル化の可能性が示唆された。 ナノ粒子の擬似分子モデル化での重要因子である分子量については、昨年度から浸透圧測定を試みているが、水系の測定と比して、有機溶媒系で適用できる限外濾過膜が選定できず、装置製作を断念した。その代替として、粒子沈降係数から見掛け浸透圧を算出して、相当分子量を推定するアプローチに変更し、C10-セリア溶媒系でのデータ取得とその解析を行った。現時点では、その解析途中であるが、有限空間での沈降係数算出範囲の選定が重要であることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
浸透圧の直接測定については、当初計画のとおりに進捗していないが、測定装置自体の設計・製作も研究テーマとなるものであり、大きな障害ではないと考えている。その代替としての、粒子沈降測定からの沈降係数の測定とそのデータ解析による見掛け浸透圧の算出は、対象としている「ナノ粒子系」での測定可能な物理量であり、応用展開を図る場合には、適用しやすい方法論となりうるものである。 以上から、マイナス面とプラス面の要素があり、結果としては概ね計画した検討ができつつあると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
PVTデータから、それをベースにナノ粒子の状態方程式の特性パラメータを決定する方法論はできており、コア粒子と修飾鎖を分離して独立にパラメータを算出する可能性も示唆されたので、サンプル粒子の測定データの蓄積を待って、その決定を試みる。 浸透圧データについては、直接測定は断念し、沈降係数の測定からのアプローチを進めるとともに、見掛け浸透圧算出のための方法論を策定し、それに基づいて、相当分子量の算出を行い、上述の擬似分子パラメータ決定の基盤データとして利用する。
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