研究課題/領域番号 |
22K04808
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研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
高羽 洋充 工学院大学, 先進工学部, 教授 (80302769)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 機械学習 / 分離膜 / 生成アルゴリズム / 潜在表現 / Variational Autoencoder / ガス分離 / 二酸化炭素 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、広大な化合物空間から最適な膜構造をサンプリングできる、JT-VAE機械学習システムを構築することである。具体的には、混合ガス分離系に対して、最適な膜構造を測定データから創造できるシステムを構築する。本年度は、高分子膜系をターゲットとして、被分離対象としては、無機ガス(CH4, CO2, He, H2, N2)を対象とした機械学習を行った。従来のJunction Treeのアルゴリズムは低分子有機物を対象としたものであるため、高分子系にも適用できるようにモノマー分子に含まれれる重合点を考慮できるようにJunction Treeのアルゴリズムを改良した。生成ものな―の精度を検証し、重合点も含めて化学的に正しい構造が高確率で生成されることを確認した。これにより、1種類のモノマーを対象としたホモポリマー型の高分子分離膜の設計が可能となった。次に、膜透過データベースに関して文献調査を行った。調査の結果、データベースとして、アメリカのPolymer GenomesとAustralasia膜学会の高分子ガス透過データベースを採用することにした。これらをベースを利用してJT-VAEに基づく膜設計システムを学習させた。まず、高分子構造データベースを利用して20万以上のモノマー構造を学習させ、さらに膜透過データベースに含まれる各種無機ガスの透過データを学習させることで、JT-VAEの潜在空間パラメータと透過データとの回帰モデルを構築することに成功した。以上より、JT-VAEから生成された仮想的な高分子膜の透過性能を予測できるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、高分子膜系をターゲットとして、被分離対象としては、無機ガス(CH4, CO2, He, H2, N2)を対象とした機械学習を行った。従来のJunction Treeのアルゴリズムは低分子有機物を対象としたものであるため、高分子系にも適用できるように重合点を考慮できるようにJunction Treeを改良した。これにより、1種類のモノマーを対象としたホモポリマー型の高分子分離膜の設計が可能となった。次に、膜透過データベースに関して文献調査を行った。調査の結果、データベースとして、アメリカのPolymer GenomesとAustralasia膜学会の高分子ガス透過データベースを採用することにした。これらをベースに基づいてJT-VAEに基づく膜設計システムの原型を構築することに成功した。データベースに含まれる各種無機ガスについてJT-VAEの潜在空間パラメータと透過データとの回帰モデルを構築することに成功した。以上のように研究計画に基づいて、JT-VAEから生成された仮想高分子膜の透過性能を予測できるシステムの構築に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
現状開発したJT-VAEに基づく膜設計システムは、取り扱える膜材料系が比較的分子量の小さなモノマーのみであり、共重合ポリマーや分子量の大きなポリアミド系、あるいはゼオライトなどの無機膜系をアルゴリズムてに取り扱うことが難しい。次年度以降はこれらの分離膜材料を取り扱えるように、JT-VAEに基づく膜設計システムを改善していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費で購入したコンピュータが予定より安価だった。そのため、差額が生じた。差額分は翌年に回し、別途演算用コンピュータを購入する予定である。また、学会がオンラインで行われた事もあり、旅費が不用となったことも影響した。
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