本研究の計画段階では,5つのテーマに取り組む予定であった.2022年度には,申請書に記載のテーマ3に主に取り組んだ.またテーマ1,2,5の一部に取り組んだ. テーマ3では,既存のプロセスモデルの誤差が大きくなったときに,入力変数の変動を最小限にするために誤差が発生した伝達関数の入力変数のみを変動させ,変動を加えた操作変数の出力変数に対する影響を打ち消すように,誤差の小さい伝達関数の操作変数を操作することで,制御性能を保持しながら,モデルを正確に再構築できる方法を提案し,学会発表や論文投稿を行なった. テーマ1では,既存の研究では,モデル構築に利用できるサンプル数が無限であるという非現実的な仮定のもとでの理論が多く展開されていることに対して,本研究ではサンプル数が現実的な値において,モデルの精度がどのようになるかをデータの特徴を変更しながら調べた.これにより,より実用性の高い方法を確立するための基礎的な情報を得ることができた. テーマ2では,モデルの信頼性を評価できる既存手法を,多変数プロセスを対象とした際にも活用できるように改良し,手法の汎用性を高めることに成功した.既存手法は単変数プロセスにしか適用できなかったが本研究により,適用できる対象の数が格段に増加した. テーマ5では,テーマ3で開発した手法を化学プラントを模したシミュレーターから得られたデータに適用することで,提案手法の有用性,妥当性が高いことが確認できた.
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