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2023 年度 実施状況報告書

オリゴシルセスキオキサンを用いた次世代型遺伝子導入剤の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K04818
研究機関宮崎大学

研究代表者

松根 英樹  宮崎大学, 工学部, 准教授 (10380586)

研究分担者 宮武 宗利  宮崎大学, 工学部, 助教 (40315354)
塩盛 弘一郎  宮崎大学, 工学部, 教授 (80235506) [辞退]
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードカプセル / 遺伝子 / シリカ / 糖
研究実績の概要

現在,遺伝子をクスリに用いる遺伝子治療の開発が精力的に進められている.この治療法において,DNAやRNAなどの遺伝子を体内の標的細胞の内部に効率よく導入することが重要である.DNAやRNA単体では細胞内に導入できないため,ベクターと呼ばれるカプセルに封入して細胞膜を透過させる必要がある.このベクターの性能が遺伝子発現の効率を左右し,最終的には治療効果に大きく影響する.
本研究の目的は,全く新しい概念に基づいて新規構造のベクターを開発することである.従来,治療に適用することができなかった巨大なサイズの遺伝子を治療に用いることを実現する.具体的には,申請者が開発した環境応答性の中空シリカ粒子を遺伝子のベクターに用いる.サイズが~100 nmの粒子で内部に大きな空孔を有し,かつカプセル膜には細胞内で崩壊するように設計されている.遺伝子をこの空孔に閉じ込めた上で細胞に取り込ませ,遺伝子発現ができることを実証する.
初年度は,内包する遺伝子をカプセル内に封止する技術の開発を目標とし,達成した.2年目は細胞内環境に応答して直ちにバラバラになるカプセル壁の構築を探索した.細胞外では内包物である遺伝子を保持し,一方で,細胞内に導入されると細胞内環境で特異的に存在する物質に反応して構造が崩壊する薄膜の構築を目指した.シルセスキオキサン分子を単位要素として,それらを架橋することで薄膜化することで解決を図った.架橋剤のスクリーニングを行った結果,目的とする,直ちに細胞内環境に応答する膜の開発を行うことができた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初目標としていた,最適なカプセル膜の材料開発に成功した.そのため,順調に進行していると評価した.遺伝子を傷つけずにカプセル化法の開発を行うことができた.カプセル膜に刺激応答性の機能を付与することにも成功した.細胞内と同様の環境において内包物を放出する能力を有している.一方で,効能の検討にはいたらず,今後,細胞での反応との関係性を明らかにしていく必要がある.特に,細胞膜の透過が実現するための,カプセルの最外層に施す修飾剤の探索が本研究課題を遂行するためのキーになるため,来年度はそこを重点的に実施していく必要があると考えている.

今後の研究の推進方策

最終年度にあたる,次年度は初年度,2年度の検討結果を踏まえた上で,それらをまとめつつ,さらに発展させて本研究課題の完成を図る.
開発したカプセルを用いて細胞内への導入を検討する.その際,カプセルの培地中への分散性が問題になると考えられる.高塩濃度中でもカプセルが均一に分散させるためには,適切な表面修飾が必要であると考えられ,様々な修飾剤でスクリーニングを行って解決していく.修飾前後で環境応答性の機能がどのように変化するかを明らかにした上で,細胞内へエンドサイトーシスがどれくらい起こるかを定量的に明らかにしていく.また,遺伝子の発現がきちんと行われるかを明らかにしていく.定量的な評価を示した上で,全く新しい概念に基づいた本方法論が有効であることを実証し,確立していく.

次年度使用額が生じた理由

次年度には開発したカプセルを細胞に適用して,本格的にその性能を評価する.細胞の培養装置および消耗品は多大な経費がかかる.その使用額を見積もった結果,次年度に繰り越した方が良いと判断した.そのために,次年度使用額が生じた.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Synthesis of Silver Nanowires using <i>N</i>, <i>N</i>-Dimethylalkylamine2024

    • 著者名/発表者名
      Matsune Hideki、Ueno Yuki、Wakamatsu Toshiki、Fujimoto Masa-aki、Shiomori Koichiro、Yamamoto Tsuyoshi、Kishida Masahiro
    • 雑誌名

      KAGAKU KOGAKU RONBUNSHU

      巻: 50 ページ: 27~34

    • DOI

      10.1252/kakoronbunshu.50.27

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Preparation of Hydrophobic Cryogel Containing Hydroxyoxime Extractant and Its Extraction Properties of Cu(Ⅱ)2023

    • 著者名/発表者名
      Takase Hayato、Goya Naoto、Kiyoyama Shiro、Shiomori Koichiro、Matsune Hideki
    • 雑誌名

      Gels

      巻: 10 ページ: 9~9

    • DOI

      10.3390/gels10010009

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Wrapping of Drug Assembly with Silica Layer and Confinement through Reversible Linkage with Copper(II) for Glutathione-responsive Nanocapsule2023

    • 著者名/発表者名
      Matsune Hideki、Yoshida Ryoya、Ikemizu Ren、Shiomori Koichiro、Yamamoto Tsuyoshi、Kishida Masahiro
    • 雑誌名

      Chemistry Letters

      巻: 52 ページ: 870~873

    • DOI

      10.1246/cl.230322

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Colloidal Trehalose Nanoparticles: Sacrifice Templates for Hollow Silica Nanospheres2023

    • 著者名/発表者名
      Matsune Hideki、Ikemizu Ren、Shiomori Koichiro、Muraoka Emi、Yamamoto Tsuyoshi、Kishida Masahiro
    • 雑誌名

      Bulletin of the Chemical Society of Japan

      巻: 96 ページ: 813~815

    • DOI

      10.1246/bcsj.20230097

    • 査読あり
  • [学会発表] シリカナノカプセルへの薬剤の新規封入方法の開発2023

    • 著者名/発表者名
      池水 廉・ 松根 英樹・ 塩盛 弘一郎
    • 学会等名
      化学工学会第54回秋季大会

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公開日: 2024-12-25  

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