研究課題/領域番号 |
22K04824
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
高山 大鑑 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (40760369)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 金属間化合物 / 溶融固溶体合金 / 低温合成 / 金属フラックス / 合金触媒 |
研究実績の概要 |
令和4(2022)年度は、Ni系金属間化合物触媒の新規な合成法として、溶融亜鉛合金中におけるNi系金属間化合物の合成法の確立に着手し、以下2点について検討した。 (A)溶融亜鉛合金中におけるNi系金属間化合物の合成条件の検討 石英管にNi、TaおよびZnの混合粉末を真空封入(< 0.1 Pa)した後、マッフル炉を用いた800度の加熱によって、粉末状のNiTa2を単一相で得ることに成功した。このとき、残留Znは、空気雰囲気・室温下のNaOH水溶液中で攪拌することで除去できた。NiとTaの融点がそれぞれ1500および3000度であることから、本手法が低温合成に有効であることが示された。また、主結晶相として得られるNi系金属間化合物の組成は、Ni、TaおよびZnの混合比率に依存することがわかった。
(B)効率的な相図作成のための機械学習の導入 Ni系金属間化合物を高い相純度で得ることは、これらの触媒性能を評価・比較するうえで重要である。前述(A)の検討により、Ni/Ta比の異なるNi系金属間化合物を単一相で得るためには、Ni、TaおよびZnの混合比率を詳細に検討する必要があることがわかった。そこで、機械学習手法の一つである不確実性サンプリングに基づいた相図作成コード(Phase Diagram Construction;PDC)を応用して、Ni-Ta-Znの3元系相図に基づく混合比率の最適化を行うこととした。現在、効率的な混合比率の最適化に向けて、機械学習プログラムから提案された候補点の実験を行い、その実験結果(生成物の組成情報)を機械学習プログラムにフィードバックすることを繰り返す「サイバー・フィジカルループ」を検証中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
主結晶相として得られるNi系金属間化合物の組成は、Ni、TaおよびZnの混合比率に依存することがわかったことで、今後の実験方針が具体化された。また、その実験を効率化するための機械学習プログラムの動作環境を整えることができた。Ni系金属間化合物を単一相で得るための項目を着実に遂行できており、触媒性能の検討への展開も十分に期待できると考えられるため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
相図作成コード(PDC)と実際の実験を繰り返すサイバー・フィジカルループを実行し、高い相純度でNi系金属間化合物が得られる合成条件を探索する。また、触媒反応への展開も検討する。
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