研究課題/領域番号 |
22K04830
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
佐藤 文哉 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 講師 (00709488)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 反応ルートの解明 / バイオマス由来化合物の変換 / レブリン酸 / 二元機能触媒 |
研究実績の概要 |
本研究はトウモロコシの軸、草本など非可食バイオマス由来のセルロースを加水分解することでできるレブリン酸を固体触媒により化成品原料となるペンタン酸へ変換するルートについて、変換ルートの途中で得られる化合物の解明などにより触媒開発につなげるものである。この変換ルートはカーボンニュートラルにつながるバイオマス利用の懸案となっている食糧競合の問題を回避できるため非常に重要である。 2022年度はレブリン酸からペンタン酸への変換ルートの解明を進めた。中間生成物であるγ-バレロラクトンを出発原料として触媒量(反応時間に相当)を変えてペンタン酸生成までの間にできている化合物を調べた。その結果、ペンタン酸の前に数種のペンテン酸の生成が確認された。このためγ-バレロラクトン→ペンテン酸(数種存在)→ペンタン酸というルートで反応が進むことが明らかとなった。 また、触媒探索の結果、レブリン酸→γ-バレロラクトン・γ-バレロラクトン→ペンタン酸いずれもシリカアルミナなどの固体酸と水素化能のある金属の組み合わせが有効であることが明らかとなった。その一方で、後者は触媒担体のシリカアルミナ中のアルミナ含有量が触媒活性に影響したが、前者はほぼ影響がなく、それぞれのルートで酸触媒として求められるものに違いがあることが示唆される結果となった。このような違いが明らかになることは触媒開発とって重要なことであり当初予想していた結果ではないが有意義なものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ガスクロマトグラフの価格が想定以上に高騰したため他の物品(重水素ボンベ・高圧流通反応装置)の購入に予算的な制約が生じたが、中間生成物としてペンテン酸が生成していることを確認できたため当初予定していた重水素キャリアによる反応ルートの解明で期待していたものと同等の成果が得られた。 また、触媒探索の結果、γ-バレロラクトン→ペンタン酸は触媒担体のシリカアルミナ中のアルミナ含有量が触媒活性に影響したが、レブリン酸→γ-バレロラクトンはほぼ影響がなく、それぞれのルートでアルミナ含有量と密接な関係があるとされるブレンステッド酸・ルイス酸・酸の強さの寄与に違いがあることが示唆される結果となり、2023年度は酸性質の寄与について解明することとした。 なお、ガスクロマトグラフの導入(増設)によりレブリン酸以外の出発原料を並行して扱えるようになったため研究の進捗スピードが約2倍になった。 したがって、本研究はおおむね順調に進行しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は当初計画のうち「気相水素化反応における水素圧の影響を明らかにするための耐圧反応器の作製・導入と水素分圧に対する反応次数の算出」、「シリカアルミナ中のAlの存在様態とブレンステッド酸/ルイス酸比の測定」を進める予定である。前者は反応器の耐圧部材への交換(とその設計)、水素圧1~20気圧程度での触媒反応の実施を進める。後者はシリカアルミナの配位状態をXPSやEXAFSで、ブレンステッド酸・ルイス酸比の測定をピリジン吸着赤外分光法で実施する予定である。 また、レブリン酸→γ-バレロラクトンでは経時的な炭素の析出が見られこれによる触媒活性の低下が発生しているものと予想される。触媒上に析出した炭素については分析されている事例が少ないので、熱分析、元素分析、赤外分光など機器分析を駆使して定量・定性を行い、それらの結果を触媒活性の低下傾向(低下度合い)と結び付けられるかを検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
残額が極めて少額となり物品購入などに適さなくなったためで、2023年度の配分額と併せて物品購入費に使用する。
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備考 |
研究内容ページは本研究の対象外研究テーマも掲載
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