研究課題/領域番号 |
22K04834
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
才田 隆広 名城大学, 理工学部, 准教授 (90710905)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 燃料電池用非白金系触媒 / 酸化チタン / 酸素還元反応 |
研究実績の概要 |
本研究では,固体高分子形燃料電池用のTiO2系非白金系触媒の活性サイトおよび活性支配因子の特定を目指している.令和4年度では,活性サイトの特定を目的とした酸化チタンナノシートにおける結晶構造の歪みおよび酸素欠損サイトが酸素還元反応(ORR)活性に与える影響に関する検討を行った.一般に,結晶構造を構成する六配位八面体は,頂点共有により連結した方が,陵共有により連結する場合よりも歪みが生じやすい.このため,頂点共有が支配的な構造と,陵共有が支配的な構造を比較することで,チタン原子を中心とする六配位八面体の歪みが触媒活性に与える影響を確認することが可能となる.具体的には,陵共有が支配的な単分子層モデル電極と,頂点共有が支配的な単分子層モデル電極をそれぞれ作製し,酸素欠損サイト導入前後でのORR活性を評価した. 両モデル電極を比較した結果,偏差も考慮するとORR開始電位に有意な差を観察することが出来なかった.したがって,現時点では結晶構造(六配位八面体)の歪みは,ORR自体に大きな影響を与えないと思われる.一方で,酸素欠損サイトを導入することで,明かなORR活性向上が認められた.本研究では,モデル電極として集電体上にチタン原子を中心とした六配位八面体を二次元的に並べた電極を使用している.このため,電子伝導経路としてトンネル効果を利用することが出来る.したがって,酸素欠損サイトの導入による電子伝導性の向上がORR活性向上の要因とは成り得ない.上記の結果は,結晶構造が歪んだサイトではなく,酸素欠損サイトがORRに対する活性サイトとして機能している可能性を示唆している. 本研究の結果は,酸化物上のORR機構の解明に対して一翼を担うと思われる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定したモデル電極については,再現性も含めて調査検討することが出来た.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,Nbをドープした酸化チタンナノシートからなる単分子層モデル電極を作製し,酸素欠損サイトの導入前後におけるORR活性および結晶構造を評価する.また,Nbのドープ量も変化させる予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
予定よりも効率的にXAFS測定が行えたため,R4年度の施設使用料が予定よりも少額となった.次年度使用額分は,実験結果に対する考察を深めるために使用する分子シミュレーションを行うソフト購入費に充てる.
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