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2022 年度 実施状況報告書

水素と加熱触媒体を用いた2次元芳香族化合物創製とスピンデバイス応用

研究課題

研究課題/領域番号 22K04877
研究機関兵庫県立大学

研究代表者

部家 彰  兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (80418871)

研究分担者 住友 弘二  兵庫県立大学, 工学研究科, 教授 (30393747)
神田 一浩  兵庫県立大学, 高度産業科学技術研究所, 教授 (20201452)
新部 正人  兵庫県立大学, 高度産業科学技術研究所, 客員研究員(研究員) (10271199)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード2次元芳香族化合物 / 水素 / 加熱触媒体 / グラフェンナノリボン / 原子状水素
研究実績の概要

本研究では、基板近傍に設置した加熱金属触媒体(1400℃)と水素ガス(反応促進剤)を用いた新規化合物合成法のホットメッシュ堆積(Hot Mesh Deposition, HMD)法を発展させてグラフェンナノリボン(GNR)を創製する。このGNRをペンタセン(C22H14)から合成するためにはペンタセンを水素化したジヒドロペンタセン(C22H16)をまず生成し、ペンタセンと反応させる必要があることが明らかとなっている。これまではペンタセンとジヒドロペンタセンの存在比制御を触媒体温度や触媒体(W線上へのNi粒子担持)で行っていたが制御性が乏しいことが問題となっていた。
そこで1年目では、ペンタセンとジヒドロペンタセンの供給源を2つに分け、ペンタセンとジヒドロペンタセンの重合反応をより効率よく行うための装置改造を行った。この装置改良によりペンタセンとジヒドロペンタセンの存在比制御を容易にすることができた。
また、基板表面に原子状水素を供給しGNR成長表面での選択的エッチングで良質なGNRのみが残存できる機構を追加した。この原子状水素による高分子炭素膜との反応を酸化グラフェン・PTFE・酸素含有フッ素膜を用いて検討し、官能基との反応性の違いなどを明らかにした。
さらに、GNRの電子物性を放射光施設NewSUBARUの高輝度軟X線で評価する予定であるが、高輝度軟X線により炭素膜が改質してしまう可能性がある。そこで、酸化グラフェン・PTFE・酸素含有フッ素膜を用いて、軟X線照射による炭素膜の変化についても検討した。O原子を含む官能基を有する場合、その放出時に炭素6員環構造が一部破壊されることが示唆されたが、理想的なGNRはO原子を含まないため、電子物性評価時でもある程度は改質せずに測定が可能であることが予想される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度(1年目)は、まず、GNRの収率を向上させるため、ペンタセンとジヒドロペンタセンの供給源を2つに分ける装置改造を行った。また、基板表面に原子状水素を供給しGNR成長表面での選択的エッチングで良質なGNRのみが残存できる機構を追加した。さらに、放射光施設NewSUBARUの高輝度軟X線を用いたGNRの電子物性評価の予備検討を行った。
このように研究はおおむね順調に進展しているが、GNR成膜条件の最適化など多くの実験が必要である。

今後の研究の推進方策

今後はまず改造した装置を用いてGNR成膜条件の最適化を行う。その過程で反応機構を解明するために重水素を用いた実験を行う。また、HMD法がテーラーメイド型2次元芳香族化合物合成法となりうるかを他の低分子材料を用いて検討する。並行して、GNRスピントランジスタを作製し、電荷・スピン移動機構を調べる。また、放射光軟X線吸収・発光測定および電気測定により、化合物の電子物性(バンドギャップ近傍の電子分布)を検討し、電荷・スピン移動機構との関係を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

予想よりも装置改造に予算を消費したため、ヒーター用電源の購入ができなかった。次年度の予算と合わせて電源を購入するために10万円を次年度に残すことにした。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Effects of underlayer on the reduction of graphene oxide through atomic hydrogen annealing and soft X-ray irradiation2023

    • 著者名/発表者名
      Heya Akira、Fujibuchi Akinori、Hirata Masahiro、Kanda Kazuhiro、Matsuo Yoshiaki、Inamoto Junichi、Sumitomo Koji
    • 雑誌名

      Japanese Journal of Applied Physics

      巻: 62 ページ: SC1028~SC1028

    • DOI

      10.35848/1347-4065/acac37

    • 査読あり
  • [学会発表] Effect of Underlayer on Reduction of Graphene Oxide by Atomic Hydrogen Annealing2022

    • 著者名/発表者名
      Heya Akira、Fujibuchi Akinori、Hirata Masahiro、Sumitomo Koji
    • 学会等名
      2022 International Conference on Solid State Devices and Materials
    • 国際学会
  • [学会発表] 原子状水素アニールによる表面清浄化と金属の自然酸化膜と熱酸化膜の還元2022

    • 著者名/発表者名
      部家 彰、住友 弘二
    • 学会等名
      第 19回 Cat -CVD研究会
  • [学会発表] 原子状水素アニールによる半導体と金属の自然酸化膜と熱酸化膜の還元2022

    • 著者名/発表者名
      部家 彰、住友 弘二
    • 学会等名
      薄膜材料デバイス研究会 第19 回研究集会

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公開日: 2023-12-25  

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