研究課題/領域番号 |
22K04906
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
青木 裕介 三重大学, 工学研究科, 准教授 (70378313)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | エナジーハーベスタ / 液滴摩擦発電 / 濡れ制御 / 帯電材料 |
研究実績の概要 |
本研究では、液滴摩擦帯電型発電機(DEG)①DEG表面での水滴挙動のデバイス動作への影響と②高効率動作をするDEGの構造と動作条件の明確化を行い,最終的には③従来型DEGに比べて自由度の高い動作条件を実現するDEGデバイス創生を実現することを目的としている。 これら目的に対して、当該年度では、DEGの動作原理の解明のために、上部電極/PTFE/金属板構造のDEGを対象として、水滴落下高さ、DEG基板傾きの違い、水滴落下位置に対する電極位置の違いなどの条件の違いによるDEG上での水滴形状、水滴濡れの違いを高速カメラ撮影により明確化し、かつ、発電特性の時系列データを比較することでDEG上の水滴挙動とDEG出力の相関を検証した。得られた成果は以下のとおりである。 水滴落下位置と電極配置位置関係がDEG出力に対する影響を明確化した。水滴落下高さ,基板角度等の条件の違いにより水滴バウンド運動に違いが生じ、DEG上で水滴形状に変化が生じた。DEG上で水滴が上部電極に接触する際の面積を大きくする条件が最大出力を得るのに好適であること、DEG上で水滴が電極に接触している際の水滴―PTFE接触面積が時間的に変化する場合、面積の時間変化とDEG出力の時間変化に相関があることを明らかにできた。各種電極構造(細線電極or箔電極、水滴スライド方向に対して垂直配置or平行配置)がDEG出力に与える影響を検証した。箔電極・垂直配置とすると、電極―PTFE表面の濡れ性の違いにより電極へ水滴がより長時間濡れ状態を保ち、長時間のDEG出力が得られることを明らかとした。さらにDEG回路をCR回路に見立てた等価回路モデルを利用して、帯電材料に蓄えられている初期帯電電荷量を見積り、帯電材料の帯電電荷密度に見合ったDEG出力が得られていることを確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画では、水滴挙動とDEG出力の相関からのDEG動作原理の検証として、水滴落下高さ,基板角度等の条件の違いによるDEG上に水滴が落下した直後の初期水滴形状および電極接触後の水滴変形の影響の抽出、帯電材料に蓄えられている初期帯電電荷量の影響を調べる予定であった。研究成果に示したように、当該年度では、研究計画に対する成果が得られており、概ね当初の計画通り達成できた。これらの結果は、すでに学会、国際論文誌での発表などを行ってきている(論文はオンラインで先行公開中)。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、当初の計画通り、前年度に引き続いて各種条件での水滴挙動とDEG特性の相関の検証データの蓄積を行うとともに、高効率動作をする新規DEG構造の提案と動作条件の明確化を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費として高速カメラ/レンズの購入を計画していたが、レンズについてはすでに所有していたものを流用して研究を行うことができたため、その分の助成金を翌年度に繰り越し、DEG素子の原材料費として使用する予定である。
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