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2023 年度 実施状況報告書

光電子分光と発光分光を駆使したIV族半導体表面直下の電子状態の研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K04926
研究機関奈良先端科学技術大学院大学

研究代表者

武田 さくら  奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (30314537)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード半導体 / 空間電荷層 / 電子状態 / 光電子分光 / カソードルミネッセンス
研究実績の概要

本研究課題では、半導体デバイス動作で重要な役割を果たす半導体表面直下領域に着目し、この領域に存在する特殊な電子状態を明らかにし、正確な物理モデルを構築することを目的とした研究を行っている。
本年度は、レーザーを励起光に用いた時間分解2光子光電子分光を用い、シリコン表面直下の価電子閉じ込め型空間電荷層について、ポンプ光を照射し生成される光起電力によってバンド湾曲曲線を変化させた場合の、空間電荷層内の量子化電子状態の変化及びその時間変化の観測に成功した。また、サブバンドの光電子強度の入射光偏光性を測定し、サブバンドを原子軌道成分ごとに分けるために必要なデータを得ることに成功した。
発光分光については、電子線低視射角条件での微弱発光を測定するための、レンズー光ファイバ系を開発し、それまで測定できなかった低視射角条件でのカソードルミネッセンスを測定することに成功した。
更に、サブバンドが形成されている空間電荷層中に存在するバンド湾曲ポテンシャルを、実測したサブバンドの離散エネルギー準位を用いて、有効質量近似の範囲で数値計算を行い、推定する手法の構築を進めた。これは、実験で得たシュレディンガー方程式Hψ=Eψの固有値Eを実験で求め、得られたEを使ってハミルトニアン中のポテンシャル項Vを推定することに対応する。バンド湾曲ポテンシャルに閉じ込められた電子の離散エネルギー準位は解析的に得ることができない。固有値EからポテンシャルVを求めるには探索的に求める必要がある。本年度は特にポテンシャル曲線を表現する試行関数の選定と、探索方法の選定を行い、リーズナブルな時間で探索を行うことができる手法を編み出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

サブバンドの軌道成分を調べるための、ARPESの入射光偏光依存性の測定の実施は計画通りである。2光子光電子分光の時間分解のデータを得られたことは計画以上の進展である。
実測サブバンド準位からバンド湾曲ポテンシャルを探索する手法を編み出せたことも、計画以上の進展である。

今後の研究の推進方策

実測したサブバンド準位から、ポテンシャル曲線を推定する手法の開発を進める。また本手法を用いて、光起電力によるバンド湾曲ポテンシャルの変化を、時間分解光電子分光で得られたサブバンドのエネルギー準位を用いて推定する。

次年度使用額が生じた理由

実験出張に一緒に行くはずであった学生2名が、就職活動の前倒しのために行けなくなったため、想定していた旅費が未使用となった。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)

  • [学会発表] 角度分解2光子光電子分光法を用いたホールサブバンドの高分解能測定2024

    • 著者名/発表者名
      坂田智裕, 武田さくら, 山本勇, 東純平, 小野太智, 堀江里茉, 奥村勇斗, 市川涼太, 山田敬一, 宮田洋明
    • 学会等名
      第29回 電子デバイス界面テクノロジー研究会
  • [学会発表] Nb:SrTiO3の角度分解カソードルミネッセンス2024

    • 著者名/発表者名
      堀江里茉, 奥村勇斗, 武田さくら
    • 学会等名
      日本物理学会2024年春季大会
  • [学会発表] 粒子群最適化を用いた実測Si(001)サブバンド準位を満たす空間電荷層ポテンシャル形状の探索2024

    • 著者名/発表者名
      小野太智, 市川涼太, Brian Godwin Lim, 湯川龍, 比嘉友大, Renzo Tan, 池田和司, 坂本一之, 筒井一生, 武田さくら
    • 学会等名
      日本物理学会2024年春季大会
  • [学会発表] Search of Band Bending Potential Curve Consistent with the Observed Electronic States2024

    • 著者名/発表者名
      Sakura Takeda, Ryota Ichikawa, Brian G. Lim, Taichi Ono, Ryu Yukawa, Renzo Tan, Kazushi Ikeda
    • 学会等名
      International Conference on Advanced Functional Materials and Devices
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Derivation of Nonlinear Dynamics of Silicon Structure Under Indium Adsorption2024

    • 著者名/発表者名
      Yuichi Sakumura, Manuel T. Matsumoto, Kazushi Ikeda, Sakura Takeda
    • 学会等名
      International Conference on Advanced Functional Materials and Devices
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] β-Ga2O3の表面欠陥由来カソードルミネッセンスピークの低視射角領域での角度依存性2023

    • 著者名/発表者名
      奥村勇斗, 市川涼太, 武田さくら
    • 学会等名
      日本物理学会第78回年次大会
  • [学会発表] 拡張探索空間で見出された実測サブバンド準位を満たすSi(001)p型反転層形状2023

    • 著者名/発表者名
      市川涼太, Brian Godwin Lim, 湯川龍, 比嘉友大, 奥村勇斗, Renzo Tan, 池田和司, 坂本一之, 筒井一生, 武田さくら
    • 学会等名
      日本物理学会第78回年次大会
  • [学会発表] 価電子が閉じ込められた半導体量子井戸構造での電荷分布2023

    • 著者名/発表者名
      武田 さくら
    • 学会等名
      日本物理学会第78回年次大会

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公開日: 2024-12-25  

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