研究課題/領域番号 |
22K04927
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
麻生 亮太郎 九州大学, 工学研究院, 准教授 (40735362)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 電子顕微鏡解析 / その場観察 / 蓄電固体界面 / ナノ構造解析 / 低温観察 |
研究実績の概要 |
全固体電池の金属電極-固体電解質界面におけるナノ構造を原子スケールで可視化し解明する。この目的を達成するために、本研究では、①従来では観察不可能であった電子線照射に弱い固体電解質中の原子構造解析を可能とする「低温その場観察法」を開発するとともに、②画像取得時の電子線照射や試料ドリフトを高精度で制御して、「照射損傷の影響を無視できる固体電解質本来の状態の観測」を試みる。電池特性における界面の影響は、電気化学測定による推測に留まっていたが、本研究では、これまで観測されていない「充放電に伴うLiイオンの移動や滞留・析出の挙動」を電子顕微鏡の分解能で解明することを目指す。 電子線照射損傷の研究では、各々の対象試料によって試料損傷に寄与する要素が複雑に絡み合っており、理論予測は非常に困難で、実用試料を実際に電子顕微鏡観測する必要がある。電子線照射の影響を解明・解決するために、実用蓄電固体材料の原子スケール観察を可能とする最適な電子顕微鏡観測条件を確立する。高度計測環境として、低温域における高精度温度制御、照射電子線の制御、最適な画像取得条件の探索、の三つを実施することで、従来の電子顕微鏡観察では到達できなかった蓄電固体材料本来の構造・現象を反映させた理想的な高度計測を実現する。 本年度は、電子顕微鏡用試料加工時に絶縁性保護膜と導電性保護膜を形成する手法を開発した。これにより、電子顕微鏡観察時に問題となる電子線照射の影響、すなわち帯電とイオンの移動の両方を同時に抑制し、試料ダメージの少ない原子分解能観察を実現した。本手法は、あらゆる蓄電固体材料への応用が期待でき、電圧印加オペランド観察において非常に重要な技術革新といえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
導電性保護膜に加えて絶縁性保護膜を形成する手法を適用することで、従来観察が困難であった電子線照射に弱い固体電解質単結晶であるLATPやLLZ試料の原子分解能観察を実現した。本手法は、今後進める電圧印加オペランド観察において非常に重要な要素技術となる。
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今後の研究の推進方策 |
集束イオンビーム装置を用いる試料作製において、大気非暴露や冷却などの電子顕微鏡試料加工の条件を探索・確立する。さらに、観察時の電子線照射条件として、低ドーズ観察法の適用も検討する。
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