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2022 年度 実施状況報告書

光制御型低速原子線源を用いた光格子時計長期連続運転による基礎物理定数の恒常性検証

研究課題

研究課題/領域番号 22K04942
研究機関国立研究開発法人産業技術総合研究所

研究代表者

安田 正美  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 研究グループ長 (50322045)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード光格子時計 / 基礎物理定数の恒常性 / 光制御型低速原子線源 / 長期連続運転
研究実績の概要

原子時計の終わることのない高精度化の動機として、時間標準の高度化と並び、標準理論の検証や暗黒物質探索など基礎物理学への貢献が挙げられる。特に、超微細構造定数などの基礎物理定数の恒常性検証のために、異種原子の時計遷移の周波数比を長期間にわたり高精度に測定する必要がある。また、2030年頃に予定されている秒の再定義に向けて、光時計による国際原子時の定期的な校正を着実に実施していくことが求められている。これらの観点から、光格子時計の長期連続運転のための障害のひとつとなっていた原子線シャッター等の機械的可動部を排除するために、申請書独自の考案による光制御型低速原子線源の光格子時計への実装を本研究課題のマイルストーンとして設定している。特に、この原子線源動作の信頼性向上を目指す観点から、酸化イッテルビウムの光解離反応機構の解明のために、本年度においては、表面形状の良く定義された酸化イッテルビウム試料の作成を行った。このために、粉末試料のプレス機を設計・製作し、種々の環境条件や圧縮条件において試作を行い、ある条件下において、期待する良く表面状態の定義された酸化イッテルビウム資料を作成した。それと並行して、時間周波数国家標準UTC(NMIJ)の堅牢化、及び、高度化を実施した。具体的には、無停電電源装置更新、並びに、原振の水素メーザー交換である。これにより、信頼性向上とともに、光格子時計の周波数測定の短期および長期安定度が改善されることとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

酸化イッテルビウム(Yb2O3)は、細かな粉末として販売されている。しかし、このままでは超高真空装置での取扱いが不便であることや、表面形状が定まらないことから、薬品製造プロセスを参考にしつつ、圧縮してタブレット状に成型することを試みた。まず、酸化Yb粉末をエタノールと混合して、ペースト状にした。プレス機を設計・自作し、いくつかの環境条件(温度、プレス圧、プレス時間、雰囲気気体種)で試作を行った結果、200℃、2 MPa、5時間、Heガス雰囲気で、一部破損が見られたものの、期待するタブレット化に成功した。充填率は、75.5%であった。

今後の研究の推進方策

今後においては、Yb原子のレーザー冷却捕獲用超高真空装置中に、上記のようにして作成した、表面状態の良く定義できる酸化Yb試料を設置し、種々の特性評価を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

表面状態の良く定義された酸化イッテルビウム資料の作成に時間を要したために、超高真空装置への導入や、その後の特性評価に若干の遅れが生じたため。次年度は、繰り越した予算も利用しつつ光学部品などを調達し、研究を着実に実施していく。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [学会発表] Robust Yb optical lattice clock for contributing to International Atomic Time2022

    • 著者名/発表者名
      Masami Yasuda
    • 学会等名
      Quantum Innovation 2022
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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