研究課題
本研究では、省エネルギー技術として有望な光集積回路に用いるシリコンフォトニクス用の光源を提供するための要素技術の開発を行う。SiやSiGeは間接遷移であるために、高効率に発光できないため、光源の開発が必要である。近年、Ⅳ族半導体であるGeSnにおいてSn組成比が10%以上にて直接遷移となることが報告され、270 Kでのレーザ発振が報告されている。室温発光に向けては、GeSn結晶成長技術の高度化が求められているが、従来技術の化学気相成長(CVD)法では、GeSn薄膜中のSn組成比制御や結晶性向上が難しかった。本研究では、Snを均一に基板表面に供給可能な物理堆積法(スパッタエピタキシー法)を用いて、GeSn薄膜のSn組成比制御に取り組んだ。均一なSn組成比制御を達成することで、光学特性の向上が期待される。本研究では、物理堆積法であるスパッタエピタキシー法を用いてGe基板上にGeSn薄膜の形成を行った。Sn組成比はスパッタ電力により制御した。結果として、従来手法のCVD法よりも、Sn組成比が均一なGeSn薄膜の形成に成功しており、GeSn薄膜のSn組成比制御におけるスパッタエピタキシー法の優位性を明らかにした。今後は、スパッタ成膜条件(成膜温度、ガス圧など)の最適化によるGeSn薄膜の結晶性向上や素子作成プロセスの検討を通してデバイスの試作を試みる。
2: おおむね順調に進展している
本研究課題で最も重要であったSn組成比の制御において、狙い通りの効果が得られた。今後は、結晶性に関する調査を行った後に、デバイス特性の獲得を試みる。おおむね順調に進んでいる。
今後は、GeSn薄膜の結晶性向上やGeSn光デバイスの試作に向けた要素技術の開発に取り組む。デバイスの試作に向けては、電極形成やリソグラフィにおける条件出しを行い、光学特性の評価を行う。電極形成においては熱処理を行う予定であり、本研究の特長であるSn組成比の高い制御性が保持されたままデバイス試作ができるかについても十分配慮して実験を進める。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Journal of Crystal Growth
巻: 604 ページ: 127045~127045
10.1016/j.jcrysgro.2022.127045