研究課題/領域番号 |
22K04965
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
居波 渉 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (30542815)
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研究分担者 |
小野 篤史 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (20435639)
中村 篤志 静岡大学, 電子工学研究所, 准教授 (50402243)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 超解像顕微鏡 / 蛍光薄膜 / 酸化亜鉛 |
研究実績の概要 |
ALD法を用いて積層数を変えたAl2O3/ZnO/Al2O3構造を有する蛍光薄膜を作製し、それらを表面粗さや蛍光強度で評価した。SiN薄膜上にAl2O3(10 nm)/ZnO(100 nm)/Al2O3(20 nm)のZnO単層蛍光薄膜を成膜した。また、Al2O3(10 nm)/ZnO(10 nm)を6層積層し、表面にAl2O3(10 nm)を成膜した積層型蛍光薄膜を作製した。作製した蛍光薄膜に電子線を照射し、その発光強度を比較した。その結果、Al2O3(10 nm)/ZnO(100 nm)/Al2O3(20 nm)蛍光薄膜の発光強度が2倍程度高かった。これは、ZnOの膜厚の合計が、ZnO単層蛍光薄膜が100 nm、積層型蛍光薄膜が60 nmであったためだと考えられる。また、積層型蛍光薄膜では、Al2O3とZnO界面で反射が起こるため、光強度が減少する。次に、表面粗さについて評価した。表面粗さRMSは、ZnO単層蛍光薄膜で1.9 nm、積層型蛍光薄膜で0.5 nmであった。Al2O3の導入により、RMSが向上し、発光の空間的な均一性も向上した。次に、Al2O3/ZnO/Al2O3のZnO単層蛍光薄膜においてZnO層の膜厚とを変えて、RMSと空間分解能を評価した。また、SiN基板の表面もしくは裏面のどちらか一方にZnO単層蛍光薄膜を成膜した蛍光薄膜を用意した。ZnO層の膜厚が大きくなると、RMSは大きくなることが分かった。ZnO層が30 nmから110 nmに増加すると、RMSは1.4 nmから2.6に線形に増加した。また、空間分解能の評価を行なった。その評価にはDerivative method (DR 法)を用いた。その結果、ZnO層の膜厚が薄くなると空間分解能は向上した。ZnO層が110 nmから30 nmに増加すると、分解能は120 nm程度向上した。ZnO単層蛍光薄膜をSiN基板の裏面に成膜した方が、分解能が良いことが分かった。裏面に成膜した方が入射電子線の散乱を抑えることができるため、表面に成膜するより裏面に成膜した方が、分解能が良いと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
金属ナノ粒子層の作製条件の検討が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
金属ナノ粒子層の作製条件の検討を行い、最適な条件を求める。
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次年度使用額が生じた理由 |
金属ナノ粒子層の作製条件の検討が遅れたため発生した。来年度は、金属ナノ粒子層の作製のために使用する。
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