研究課題/領域番号 |
22K04984
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
福元 謙一 福井大学, 附属国際原子力工学研究所, 教授 (30261506)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 照射硬化 / 透過型電子顕微鏡 / ステンレス鋼 / 等時焼鈍回復 / イオン照射 / その場観察 |
研究実績の概要 |
原子力構造材料の照射硬化・脆化による健全性評価や寿命予測を、イオン照射材の照射後等時焼鈍を用いた損傷組織回復の組織観察・解析評価により明らかにする。イオン照射した原子力構造材料を用いた広範囲の照射損傷を与える照射条件での照射後焼鈍回復の動的組織観察実験において、イオン照射の不均一損傷組織の特性を活かしたFIB加工断面組織試料による照射後焼鈍『その場』TEM観察手法の構築を行う。 本研究ではイオン照射した軽水炉材料に対して照射後等時焼鈍下でのTEM内『その場』観察による損傷組織変化やその動的回復について明らかにする。 Fe-Mn-Si合金およびステンレス鋼モデル合金(Fe-Ni-CrおよびFe-Ni-Si合金)に対し低温照射実験を行い、照射材をFIBにより断面組織試料を作製してTEM観察した。その組織観察から照射欠陥集合体の組織情報を取得した。この成果を用いてFIB加工試料を用いた加熱試験による動的回復実験に今後発展させてゆく。 本研究で行った超微小硬度試験において大きな照射硬化が見られた。損傷組織および照射硬化量の結果としてTEM観察で得られた照射欠陥密度・直径、超微小硬度試験で得られた照射硬化量からオロワン式を用いた解析を行い、TEM観察組織の障害物強度の算出を行った。これらの結果により各欠陥集合体の障害強度因子について求め以前の結果と良い一致を示したことを確認した。 Fe-Mn-Si合金については200℃水素照射したFe-Cu試料について照射材をFIBにより断面組織試料を作製してTEM観察した。特に溶質原子クラスターについて観察可能になるよう九州大学超顕微解析センターの分析TEMを用いて観察を行い、Cuクラスタ形成の観察が可能であることを示した。今後Mn-Ni-Siクラスタについて観察可能であることを確証する研究を行い、本研究で行う焼鈍試験に反映させることを検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度に加熱ホルダの故障が発生し、修理に夜遅れが生じた。2024年2月に原状回復したが実験計画に大きな遅れが出た。
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今後の研究の推進方策 |
実験機器の復旧により当初計画していた「ステンレス鋼のNi-Si溶質原子クラスター挙動及びフランクループへのSi溶質原子偏析挙動」に関する研究に早期に着手する。具体的にはイオン照射した軽水炉材料ステンレス鋼モデル合金に対して照射後等時焼鈍下でのTEM内『その場』観察による損傷組織変化やその動的回復観察を行い、欠陥クラスターの熱的安定性について情報を取得する。
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次年度使用額が生じた理由 |
差額金額が少額であるため2024年度の予算とともに研究費として消化し、研究完遂に向けた実験計画に使用する。
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