研究課題/領域番号 |
22K04986
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡本 一将 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (10437353)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 放射線利用 / 電子線 / 金属酸化物 / 水中結晶成長 / 紫外線 / リソグラフィ / レジスト |
研究実績の概要 |
現在、重金属を含む微細結晶の形成と応用を行う研究が広く展開され、より高効率で環境負荷が少ない生成プロセス開発が求められている。本研究では、電子線照射と水中結晶光合成法(SPSC法)を組み合わせることにより水中での金属酸化物ナノ結晶の位置制御された形成プロセスの開発を行い、デバイス開発を行うことを目的として研究を実施した。重金属含有のパターニング材料(フォトレジスト)を電子線リソグラフィプロセスにより結晶成長の種(種結晶)とし、水中で結晶成長させることで金属酸化物結晶の微細構造体の位置制御を可能とする。さらに、環境汚染の恐れのある金属塩の還元反応を用いず、金属材料自身をソースとすることでケミカルフリーな金属酸化物結晶成長を行う。 今年度は種結晶である有機無機ハイブリッドレジストの取り扱いにおいて、加水分解反応を防ぐことで安定な評価を行うことが可能となったことにより、より均一な種結晶条件での実験が可能となった。さらにSPSC法(電子線、ガンマ線、紫外線照射)および水熱反応による水中酸化亜鉛結晶成長、ならびにガルバニック腐食やフォトリソグラフィによりパターニングを行ったレジストをマスクとすることによって位置選択的結晶成長を行う研究を実施した。さらにSPSC法で形成した酸化亜鉛結晶構造体の応用として、水中でのXe光照射下における酸化亜鉛結晶存在下でのベンゼンからフェノール生成反応に対する光触媒作用について調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度、予期しない問題の発生により、1/4の期間しか研究課題を遂行することができなかったため、全体の研究としては当初の予定よりやや遅れているものの、今年度は種結晶である有機無機ハイブリッドレジストの物性および評価およびSPSC法による水中酸化亜鉛結晶成長に関する実験および酸化亜鉛結晶構造体の応用研究に関して、順調に進めることで遅れを取り戻しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
現在は予定通り、研究を実施できる状況に戻った。有機無機ハイブリッドレジストについては、従来の亜鉛、銅以外の金属種の含有の検討を行うとともに、高感度化のため金属配位性ポリマーに金属を配位させた組成についても検討を行う。また、電子線およびフォトリソグラフィを組み合わせた結晶構造の位置ならびに構造制御をさらに進めることで、光触媒、電界効果トランジスタ(FET)、発光デバイスへの応用研究を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度における研究実施期間が約3か月間だったため、想定された物品費と装置の利用料等が発生しなかった、また、航空券の購入にはマイレージを積極的に利用した。その影響により研究費が繰り越されている。繰り越し分については、次年度以降にかけて物品費と装置の利用料として使用する予定である。
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