研究実績の概要 |
本研究は二酸化炭素(CO2)を吸収したアミン水溶液に超音波を照射することで、低温にてCO2を脱離させることを目的とした研究である。超音波によるCO2の脱離は、無機炭素イオンの中で、溶存二酸化炭素(CO2(aq))に対して効果的であり、CO2(aq)を速やかに気体の二酸化炭素(CO2(g))に変化させ溶液外へ放出する。そのため、吸収したCO2をCO2(aq)として存在させることが重要になる。そこで、カルバメートイオンを形成せずに、無機炭素イオンの状態でCO2を吸収することができる第三級アミン水溶液との組み合わせを検討した。無機炭素イオンの形態はpHによって変化するため、酸解離定数(pKa)に注目して、いくつかの第三級アミンを選択した。トリエタノールアミン(TEA)はpKaが7.85であり、この5.0Mの水溶液 (200mL)に対して高純度CO2を圧入(0.1, 0.3, 0.5MPa, 17h, 20-25℃)した後、超音波照射 (28kHz, 200W)もしくは撹拌 (1500rpm)を20℃で30分行いCO2脱離率を比較した。超音波と撹拌を用いたCO2脱離率は、それぞれ、0.1MPaで15.3%と2.1%, 0.3MPaで40.6%と2.2%, 0.5MPaで54.4%と21.7%であった。圧入時の圧力が高いほど、脱離率が高い値となったが、これは圧入後の溶液のpHが低下し、CO2(aq)の形態が増えたと考えられる。これら結果から、超音波の利用はCO2脱離に効果があることがわかった。次に5.0MのTEA水溶液(100mL)にCO2を大気圧下で流入(100mL/min)しながら超音波を6時間照射した。その結果吸収量は31.5g/Lであり、超音波を使用しない場合は40.2g/Lとなった。TEAがCO2を吸収する際に超音波を照射しても、吸収速度は上がらないことがわかった。
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