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2022 年度 実施状況報告書

質量分析計によるアンモニア燃焼におけるイオン反応機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K05009
研究機関北九州市立大学

研究代表者

吉山 定見  北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (80210780)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードアンモニア / イオン反応 / 質量分析計 / 燃焼 / 火炎
研究実績の概要

質量分析計を用いたイオン化学種の同定を行うため,小型の予混合バーナ火炎を製作し,真空引きの状態で火炎帯付近を分析計のオリフィスに導入し,火炎が失火せずに定在できることを確認した.
本年度,このバーナー装置を用いてメタン空気予混合気を用いてイオン化学種の同定を行っていた際に質量分析計の制御装置が故障した.現在,製造メーカーにおいて修理を行っている段階であり,2023年6月末に修理が完了する予定である.2022年度中は質量分析計が使用できないことが判明したため,計画では2023年度に実施予定であったアンモニア予混合火炎の主要なイオン反応機構の検討を先行して実施した.CHEMKIN-proと呼ばれるソフトウエアを用いてアンモニア空気予混合火炎の素反応計算を実施し,オカフォーらが示した計算結果(層流燃焼速度,NO,N2O,NH3などの主要な化学種濃度)と比較し,妥当な計算結果が得られていることを確認した.また,イオン反応機構として,NO+,H3O+,N+,O+ を含む計算を行い,NO+ が最も多いイオン化学種であることを示した.また,Sahaらの熱電離の式を適用したNO+ についても検討し,化学電離によるNO+ と熱電離によるNO+ が同程度であることを示した.これらの計算から当量比とイオン濃度との関係を求め,実験にて明らかとなっている当量比とイオン電流値との関係を比較したところ,定性的にはよく一致しているが,定量的には若干異なる傾向が見られた.この結果は,素反応計算が1次元の断熱火炎モデルを用いているのに対して,実験ではアンモニア火炎を安定して定在させるためによどみ流火炎となっているため,これらの相違が見られてものと考えている.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

「質量分析計によるアンモニア予混合火炎中のイオン化学種の測定技術の確立」については質量分析計が故障したため,これを用いたイオン化学種の同定が遅れている.
一方,「アンモニア予混合火炎中のイオン反応機構の構築」については2023年度に実施予定であったが,2022年度に先行して実施し,CHEMKIN-pro を用いたイオン反応計算を計算できる状態となっており,NO+,H3O+,N+,O+などのイオン反応式を導入し,よどみ流中に定在された予混合火炎中のイオン電流測定結果との比較を行っている.
CHMKIN-proにおいてはよどみ流を模擬した火炎モデルもあるため,実験データと詳細な比較を行うため,このよどみ流火炎モデルでの計算も開始した.
質量分析計に用いるアンモニア予混合火炎を定在させるためにアンモニア専用のバーナー装置の設計・製作を開始した.先に製作しているメタン空気予混合バーナー装置やよどみ流アンモニア空気予混合バーナー装置を参考にして質量分析計に適したバーナー装置を製作する予定である.

今後の研究の推進方策

2023年度中には質量分析計での計測がすぐできるようにアンモニア火炎用のバーナー装置を製作している.メタン空気予混合バーナに比べてオリフィス近傍で火炎が失火せずに定在できるようにさまざまな方策を考えている.また,アンモニア空気予混合火炎のイオン反応計算については,1次元断熱火炎モデルの代わりによどみ流を加味した1次元火炎モデルを用いた計算を行っていく予定である.この場合にはよどみ板に垂直方向のガス流速のデータが必要となるため,熱線流速計などの計測方法の適用も検討している.
計画では火花点火機関を用いたアンモニア空気予混合火炎のイオン電流特性を計画していたが,質量分析計によるイオン化学種の同定の測定結果あるいは進捗状況によって計画を見直すことを検討したい.
2023年5月に第14回ASPACCが台湾にて開催される.これまでの成果を発表し,最新のアンモニア燃焼に関する情報を入手し,2023年度以降の研究の方向を定めていきたい.①質量分析計によるアンモニア火炎中のイオン化学種の測定技術,②イオン反応機構の構築は本研究において完成させたいと考えている.③火花点火機関を用いたアンモニア空気予混合火炎のイオン電流特性については①と②の進捗状況によって実施についても検討する.

次年度使用額が生じた理由

現在,質量分析計の修理契約を行っており,契約が確定し,修理が完了予定の2023年6月末には110万円の支出が予定されている.次年度使用額 1,185,998 円は,この修理費110万円とASPACCの旅費の一部として8万円程度を支出する予定である.
2023年度直接経費では70万円が予定されているが,60.5万円がANSYS CFD 年間ライセンス料に,残り9.5万円がASPACCの旅費に使用予定である.したがって,バーナー製作費および消耗費は大学の内部研究費を用いて実施する予定である.本研究において計画した備品費や消耗品費の大部分が質量分析計の修理費110万円に使用することとなり,残念ながら研究計画の大幅な修正を余儀なくされた.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Study on ion cuurrent measurements in ammonia-air premixed flame2022

    • 著者名/発表者名
      Hewavitarane, D., Arishima, J., Yoshiyama, S., Izumi, M., Kusuhara, T., Hasegawa, S.
    • 学会等名
      第92回マリンエンジニアリング学術講演会
  • [学会発表] アンモニア空気予混合火炎において検出されたイオン電流特性2022

    • 著者名/発表者名
      有島承多朗,ヘワビタラネ ダミンダ,吉山定見,泉光宏,楠原功,長谷川繁樹
    • 学会等名
      第60回燃焼シンポジウム

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公開日: 2023-12-25  

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