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2022 年度 実施状況報告書

高分解能ガス濃度マッピングによる亀裂・断層を移行する流体の新しい調査手法の構築

研究課題

研究課題/領域番号 22K05011
研究機関国立研究開発法人日本原子力研究開発機構

研究代表者

丹羽 正和  国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 核燃料・バックエンド研究開発部門 東濃地科学センター, 研究主幹 (90421685)

研究分担者 下茂 道人  公益財団法人深田地質研究所, その他部局等, 主席研究員 (90393694)
宮川 和也  国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 核燃料・バックエンド研究開発部門 幌延深地層研究センター, 研究副主幹 (90721225)
戸野倉 賢一  東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (00260034)
安江 健一  富山大学, 学術研究部都市デザイン学系, 准教授 (10446461)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードキャビティーリングダウン分光法 / 可搬型装置 / メタン / 断層 / フラックス / 地中レーダー
研究実績の概要

亀裂・断層中の流体移行経路の把握は、資源探査や廃棄物処分といった産業分野においても重要なテーマである。本研究では、亀裂・断層を移行する流体の新しい調査手法として、高感度で大気微量気体を検出可能なキャビティーリングダウン分光法(CRDS法)による数ppbレベルの高精度のガス測定を可搬型装置によって行う手法を採用した。令和4年度は、油徴・ガス徴の詳細な分布が知られている北海道幌延地域を対象として、CRDS法による可搬型装置を用いた徒歩測定により、メタン及び二酸化炭素濃度のマッピングを行った。その結果、大曲背斜軸が通過すると想定される地点において特徴的に、大気中のバックグラウンド濃度を有意に上回るメタン濃度異常を検出した。また、予察的に実施したチャンバーを用いたフラックス測定からも当該地点の地下からの継続的なメタンガス放出を示すデータが得られた。地中レーダー探査からも、このメタン濃度異常の検出地点が背斜軸であることを支持する結果が得られた。
以上の結果は、大曲背斜軸沿いに油徴・ガス徴が分布している事実とも整合的である。さらに、隆起した背斜軸沿いに局在して露出する亀裂の連結性の高い領域(流体の流れやすい領域)が地下の貯留岩からのガスの抜け道となり得るという地質構造モデルとも調和的である。本研究により、地下からの流体の移行経路となり得る亀裂・断層の分布を効率的に把握する調査手法として、CRDS法による可搬型装置を用いた測定が非常に有効である見通しが得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現場での測定により、CRDS法による可搬型装置を用いた測定が亀裂・断層中の流体移行経路の把握にも適用できる見通しが得られており、概ね研究計画通り順調に進展している。

今後の研究の推進方策

前年度同様ガス濃度マッピングを継続してデータを蓄積するのに加え、ガス・地下水サンプリングを行い、化学組成・同位体組成を分析し、ガスの起源(地下深部起源か、それ以外の人為起源などか)に関する情報を得る。地中レーダー探査についてもデータを蓄積し、地下に伏在するガス移行経路(亀裂・断層)の分布や連続性を明らかにする。チャンバーを用いた測定については、測定時間・時期・位置を変化させた複数のデータを取得し、地下からのガスフラックスの時空間的変動を明らかにする。以上の結果を組み合わせることにより、流体の移行経路となる地下の亀裂や断層を従来よりも格段に効率良く調査する手法を構築する。

次年度使用額が生じた理由

令和4年度は当初予定よりも現地での測定が効率よく実施できたため、旅費が節約され、次年度使用額が生じた。
令和5年度は前年度よりもフラックス測定や地中レーダー探査を詳細に実施するため、現地作業の期間を長く設定しており、それに相当する旅費を充当する。加えて、採取したガスの化学組成・同位体組成分析等に係る消耗品等の支出を計画している。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 背斜軸周辺の大気中メタンアノマリについて2022

    • 著者名/発表者名
      下茂道人・丹羽正和・宮川和也・安江健一・戸野倉賢一・徳永朋祥
    • 雑誌名

      深田地質研究所年報

      巻: 23 ページ: 21-34

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 高精度メタン測定技術による断層・褶曲軸周辺のガス移動経路の特定2022

    • 著者名/発表者名
      下茂道人・丹羽正和・宮川和也・戸野倉賢一・徳永朋祥
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2022年大会
  • [学会発表] CRDS微量ガス検知器の石油ガス探鉱への応用~予察的探鉱のすすめ2022

    • 著者名/発表者名
      横井 悟・下茂道人・宮川和也・丹羽正和・松岡俊文・徳永朋祥
    • 学会等名
      石油技術協会令和4年度春季講演会
  • [備考] 未来へげんき No.66 大気中メタンガスの検知で地下水の通り道の可視化へ

    • URL

      https://www.jaea.go.jp/genki/66/

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公開日: 2023-12-25  

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