研究課題/領域番号 |
22K05043
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研究機関 | 姫路獨協大学 |
研究代表者 |
岡村 恵美子 姫路獨協大学, 薬学部, 教授 (00160705)
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研究分担者 |
安岐 健三 姫路獨協大学, 薬学部, 助教 (50714945) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 超精密計測 / 生物物理 / リアルタイム解析 / NMR / アミロイド形成 / 細胞輸送 |
研究実績の概要 |
1. 19F NMRによるアミロイド形成初期過程の計測と創薬への展開 令和5年度は、前年度に引き続き、アミロイドβ (Aβ)フラグメントと同様に線維化を引き起こし、パーキンソン病の発症に関係すると言われるタンパク質・αシヌクレインの71-82フラグメントを用いて、繊維化の引き金となる初期凝集過程を19F NMR で計測し、部位による凝集挙動を解析した。前年度に、αシヌクレイン71-82フラグメント中に存在するバリン残基のうちバリン77残基をフッ素化アミノ酸で置換すると初期凝集が著しく抑えられることを見出したことから、バリン77をアラニンに置換した配列(V77A)がαシヌクレイン71-82フラグメントの凝集を阻害するのではないかと予測して検証を行った。N末端をフッ素化アミノ酸でラベルしたαシヌクレイン71-82フラグメントを用いて、19F NMR計測を行ったところ、V77Aを加えるとシヌクレインの凝集の進行が格段に遅くなることがリアルタイムで明らかとなり、凝集を抑制する創薬の手がかりになりうる知見を得ることができた。
2. In-cell NMRによる膜透過:良好な細胞膜透過性を有し、かつ、毒性の低いペプチド配列の設計に向けて 本年度は、引き続き、良好な細胞膜透過性を有し、かつ、毒性の低いペプチド配列の設計をめざしたペネトラチンアナログについて19F NMRによる検討を行った。その結果、細胞毒性を小さくするためのアミノ酸配列を見出した。今後、さらに膜透過性の向上を目指した配列の設計を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1. 19F NMRによるアミロイド形成初期過程の計測と創薬への展開 前年度にパーキンソン病の発症に関係すると言われるタンパク質・αシヌクレインの71-82フラグメントを用いて、19F NMR で繊維化の引き金となる初期凝集過程の計測および部位による凝集挙動を解析した結果、αシヌクレイン71-82フラグメント中のバリン77残基をフッ素化アミノ酸で置換すると初期凝集が著しく抑えられることを見出したことから、バリン77をアラニンに置換した配列(V77A)がαシヌクレイン71-82フラグメントの凝集を阻害するのではないかと予測して、本年度に検証を行った。N末端をフッ素化アミノ酸でラベルしたαシヌクレイン71-82フラグメントを用いて、19F NMR計測を行ったところ、当初の予想通り、V77Aを加えるとシヌクレインの凝集の進行が格段に遅くなることが明らかとなり、創薬の手がかりになる知見を得ることができた。
2. In-cell NMRによる膜透過:良好な細胞膜透過性を有し、かつ、毒性の低いペプチド配列の設計に向けて 本年度は細胞毒性を小さくするためのアミノ酸配列の手がかりを見出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
1. 19F NMRによるアミロイド形成初期過程の計測と創薬への展開 本年度に明らかになったバリン77置換体がシヌクレインの初期凝集過程をいかに抑制するのか、そのメカニズムについてNMRによる分子論的な解析を目指し、創薬に向けた指標を提案する予定である。
2. In-cell NMRによる膜透過:良好な細胞膜透過性を有し、かつ、毒性の低いペプチド配列の設計に向けて 本年度は細胞毒性を小さくするため のアミノ酸配列の手がかりを見出すことができた。今後、創薬に向けて、さらに膜透過性の向上を目指した配列の設計を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、同時に実施している令和元年度-令和6年度科研費から優先的に支出したため。 今後は、主に、NMR装置の冷媒補充・保守点検費用、成果発表のための旅費、論文投稿料にあてる予定である。
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