研究課題/領域番号 |
22K05066
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
東野 智洋 京都大学, 工学研究科, 准教授 (90711804)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ポルフィリン / 窒素 / ピロール / インドール / チオフェン |
研究実績の概要 |
π共役分子を基盤とした有機エレクトロニクス等のさらなる発展には、その材料となる高機能・高性能なπ共役分子の開発が不可欠である。我々は、ヘテロール縮環ポルフィリンがポルフィリンとヘテロールの利点を兼ね備えており、有機太陽電池材料や電子輸送材料など、高機能な機能性分子を実現するのに有望な骨格となり得る可能性を見出してきた。そこで本研究では、ポルフィリンにヘテロール縮環構造を自在に導入できるような合成法を開発し、典型元素の種類・酸化状態や縮環構造導入の形式が物性に与える影響を評価することを目的として研究を行った。 周辺部にヨウ素置換基を導入したポルフィリン前駆体の合成に成功し、このポルフィリン前駆体に対するカップリング反応を行うことで、硫黄・窒素原子の導入が可能であることを見出した。さらに、続く分子内環化反応により、チオフェン縮環ポルフィリン・インドール縮環ポルフィリンの合成にも成功した。 チオフェン縮環ポルフィリンについては、結晶中における分子パッキング構造において、最近接原子間距離が3オングストローム未満となっていることを見出し、電荷輸送材料として適した骨格であることが示唆された。 また、インドール縮環ポルフィリンについては、コバルト錯体とした後、コバルトイオンを2価から3価へと電気化学的に酸化することで吸収スペクトル変化が見られ、中心金属によってポルフィリン骨格のπ共役系スイッチングが可能であることも見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、ハロゲンを導入したポルフィリン前駆体を用いることで、硫黄・窒素を導入したヘテロール縮環ポルフィリンが合成できることを明らかにした。同様の反応により、他の典型元素を用いたヘテロール骨格の導入も可能であると考えられる。また、ハロゲンを導入した、新規ポルフィリン前駆体の合成を行うことで、異なる形式でのヘテロール縮環構造の導入が可能になると気体できる。したがって、本研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究において見出した、ヨウ素置換基に対するカップリング反応、および分子内環化反応を用いてヘテロール縮環ポルフィリン誘導体の合成をさらに進めていく。また、ヘテロール縮環ポルフィリンを用いた電荷輸送材料としての応用展開を目指し、適切な分子設計による機能発現に向けた検討も進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では、合成が比較的難しく、合成ルートの検討や反応条件のスクリーニングが必要と予想していたが、実際に目的としていた分子の合成に成功したため、物品費に余裕ができたことが理由として挙げられる。 また研究発表のために参加した学会が引き続きオンラインであったことから、旅費の支出がなかったことも理由として挙げられる。 本年度でも進める予定である化合物の合成や合成法の改良を行うための物品費、また各種測定のための消耗品の費用として使用する予定である。加えて、研究が着実に進展していることから、学会発表のための旅費としての使用を予定している。
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