研究課題/領域番号 |
22K05071
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
齋藤 慎一 東京理科大学, 理学部第一部化学科, 教授 (80283076)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | インターロック化合物 / ロタキサン / 回転運動 / 動的挙動 |
研究実績の概要 |
ロタキサンは分子マシンの構成要素の一つであり、ダンベル状の構造(軸構造)と環構造から構成されている。これら2つの構成成分は共有結合で結びついていないため、ロタキサンは軸構造に沿った環構造の運動(シャトリング)、あるいは環構造の回転といった特徴的な動的挙動を示す。本研究では本研究では応募者らが独自に開発した合成法を活用して、環構造の回転運動を自在に制御可能な新規ロタキサン分子を創製することを目的として研究を行った。 回転運動を制御するためには環構造と垂直かつ剛直な置換基を導入する必要がある。そこで環構造にスピロ構造を導入した大環状フェナントロリン誘導体-銅錯体を合成し、かさ高い置換基を有するアルキンを用いるグレーザーカップリングを試みた結果、環構造にスピロ構造が導入されたロタキサンが合成できることを示した。合成したロタキサンの構造は高分解能質量分析を含む各種スペクトルデータにより決定した。 様々なロタキサン誘導体を合わせて合成し、1H NMR,19F NMRを用いて詳細な検討を行ったところ、このロタキサンにおいては環構造軸分子に沿って自由に運動し均一な分布を示しているのではなく、軸構造に存在する1,3-ジイン部位に局在化していることを明らかにした。このような相互作用はロタキサン構造を有する分子において初めて確認された現象である。今後はこの知見を活用し、回転運動の制御が可能なロタキサンの合成を進めてゆく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究が進捗した結果、環構造にスピロ構造を導入した大環状フェナントロリン誘導体-銅錯体を用い、環構造にスピロ構造が導入されたロタキサンが合成できることを示した。スピロ構造は回転運動の制御に当たって鍵となる構造であり、次年度以降の研究実施における足がかりが得られた。
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今後の研究の推進方策 |
環構造にスピロ構造が導入されたロタキサンを合成し、さらにかさだかい置換基の導入について検討する予定である。
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